Cuoco井口の冷製パスタ会とサブカル会
冷たい麺が大好きな日本人に夏場に人気なのが冷製パスタ。元々はイタリアで初めてミシュランの三ツ星を獲得した料理人であるグアルティエロ・マルケージ氏が日本に来た際にざる蕎麦を食べて思いついたキャビアの冷製カッペリーニが元祖であり、本場イタリアではパスタを冷やして食べる習慣が無いのでイタリアに冷製パスタは存在しないと言われていますが「パスタ・フレッダ」という冷たいパスタ料理はイタリアにもあるそうです。ただ、日本のようにお店の正式メニューとして市民権を得ているところまでは到っておらず、賄い料理とか非公式な扱いが多いようです。
さて、そんな冷製パスタを食べる会がとあるお店で催されました。これまでに冷製パスタを美味しいと思ったことが1回位しか無いので冷製パスタの会と聞いてもあまり乗り気になれないところなのですが「LA VINERIA BRAVURA(ラ・ヴィネリア・ブラヴーラ)」での開催である点に興味を惹かれました。BRAVURAでは一昨年の江村こーじシェフ(現「Caratello」オーナーシェフ)の退職以降は正式なシェフは置かずに井口タク店長が料理を担当しています。多くのファンのいるラザーニャとポルケッタはタク店長が考案したリチェッタ(=レシピ)であり、その料理の腕前は確かなモノなのですがタク店長は常々「僕はあくまでサーヴィスの人間なので」というスタンスを貫いていて御自身の料理を前面に出すことは控えているのです。そんなタク店長が御自身の料理を主役にした初めての会ですから参加しない訳にはいきますまいて。
アンティパストやセコンド・ピアットは無くて冷製パスタだけを3皿食べる、合わせるワインも白ワインだけでそれもソアーヴェばかりを3杯というマニアック過ぎる構成です(笑)。

(左)焼きナスとバジルとポモドリーニのビアンコ冷製パスタ。サルサにはガルム(=魚醤)で旨味を足し、さらにパスタの下にナスとオリーヴ・オイルとで作ったプレ(=ピューレ)を敷いて途中でそのプレとパスタとを混ぜ合わせて食べることで味の変化を楽しめるようになっています。
(右)ベルターニ「ソアーヴェ2015」。アマローネの名門生産者であるベルターニが造る超カジュアルラインのソアーヴェ。そうそうソアーヴェってこんな味だよねと思う、まさにソアーヴェのド真ん中にあると言えるフレッシュで酸味も穏やかな造り。このソアーヴェを基準にすると色々なタイプのソアーヴェの個性がよりくっきりと分かるはずです。

(左)桜海老とニンニクのクレマの冷製パスタ。アッローストした干し海老で取ったダシが入ったニンニクのクレマがすごくまろやかで桜海老の苦味を引き立たせています。
(右)モンテ・トンド「ソアーヴェ・クラシコ カゼッテ・フォスカリン2013」。「ソアーヴェの特級畑」と言っても過言ではない単一畑フォスカリーノのブドウで造るこのカゼッテ・フォスカリンはほのかな甘味と苦味とが調和していてその甘苦味が桜海老の苦味と見事なまでにアッビナメントしています。

(左)ホタテ貝柱とペペローニの冷製パスタ。一見サルサ・ポモドーロ(=トマトソース)のように見えますがペペローニ(=パプリカ)のサルサです。これはタク店長が以前に勤めていたお店のリチェッタが原型になっているそうで、そのお店ではペペローニとトマトを混ぜたサルサをパスタに絡めて冷製の鶏胸肉をトッピングし最後にトウモロコシ粒フリットを振り掛けるのだそうですが今回はペペローニ100%のサルサで鶏胸肉ではなく生ホタテ貝柱を使い、仕上げには海老粉入りの天かすを振り掛けてあります。天かすには驚きましたがサクッとした食感が心地良いアクセントになっていますよ。
(右)レ・バティステッレの「ソアーヴェ・クラシコ バティステッレ2013」。2年前にBRAVURAにもやって来たレ・バティステッレが単一畑バティステッレのガルガネガ100%で造る骨太なソアーヴェ・クラシコ。樽は一切使用していないのに色もやや濃い目で骨格がしっかりしているのはブドウ自体の熟度の高さによるのでしょうね。
タク店長、お見事です!冷たい麺類て味が単調なのでどうしても途中で食べ飽きてしまうことが多いのですが3種類とも全て創意工夫が施されていて途中で食べ飽きることなく食べ切ることができました。まさしくタク店長のcuoco(=料理人)としての実力がいかんなく発揮された会でしたね。
【7/22追記】
同じ週の初めに冷製パスタ会で行ったばかりのBRAVURAで今度は少人数でのサブカルチャー食事会が催されました。会の発起人はバッハと大河ドラマをこよなく愛するM子さん。かって私が開催していた「郷土料理会」のメンバーでもあったお方で今回は神奈川県から仕事で出張してきている元出版業界に在職していた男性と別の友人女性と私とで4人での食事会でした。話題は過去の大河ドラマやガンダム、そして大阪イタリアン界のサブカル博士であるタク店長も交えての80年代アイドルについて(爆)。

(左)先ずはアフェッタート・ミストから。
(右)BRAVURA二大看板料理であるポルケッタ。

↑4人で3本のボトルワインを空けました。
左からシチリア州のバローネ・ディ・ヴィッラグランデ「エトナ・ビアンコ・スーペリオーレ2014」。このワインは今年1月にタク店長とmicoソムリエールから誕生日プレゼントとしていただいたワインで一人で開けるには勿体無いのでいつか誰かと分かち合う日までお店のワインセラー内に保管してもらっていたのが今宵ついに開ける時が訪れました。バローネ・ディ・ヴィッラグランデのカンティーナがあるミロはカリカンテの名産地でありミロ産カリカンテを80%以上使用したエトナ・ビアンコはスーペリオーレを名乗ることができ、同社ではミロ産カリカンテ100%で醸造しています。エトナ・ロッソに比してエトナ・ビアンコはあまり知られていないようでM子さんにも他のお二人にも好評いただきました。
中央はアブルッツォ州のマシャレッリ「モンテプルチアーノ・ダブルッツォ2013」。私がマシャレッリのワインが好きなことを知っていてmicoソムリエールが薦めてくれました。ファースト・インパクトはモンテプルチアーノらしい果実味と甘味とが来ますが後味がキレイで飲み疲れしません。
右はラツィオ州のカザーレ・デル・ジリオ「シラー2014」。カザーレ・デル・ジリオはその本拠のあるアグロ・ポンティーノの地に適したブドウ品種を見つけるために土着品種と海外品種とを合わせて約60種類ものブドウ品種を植えてみて実験。その結果、現在ではカベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、テンプラニーリョ、プティ・マンサン、プティ・ヴェルド、シャルドネ、ヴィオニエ等の海外品種に特化して独自のワインの世界を確立しています。このワインもM子さんが以前に興味を示したことを覚えていたmicoソムリエールが薦めてくれたものです。
初対面同士でも話題に共通項があれば楽しい時間が広がっていきます。そして、お客の嗜好を把握してのワインセレクトはmicoソムリエールが普段から一人一人のお客の顔を真剣に見ていることと真面目にワインと向かい合っていることの賜物です。杓子定規でないこういうサーヴィスこそ心に響きます。
一週間の間に2度も楽しい時間を過ごさせてもらったタク店長とmicoソムリエールとに感謝です、grazie mille!
さて、そんな冷製パスタを食べる会がとあるお店で催されました。これまでに冷製パスタを美味しいと思ったことが1回位しか無いので冷製パスタの会と聞いてもあまり乗り気になれないところなのですが「LA VINERIA BRAVURA(ラ・ヴィネリア・ブラヴーラ)」での開催である点に興味を惹かれました。BRAVURAでは一昨年の江村こーじシェフ(現「Caratello」オーナーシェフ)の退職以降は正式なシェフは置かずに井口タク店長が料理を担当しています。多くのファンのいるラザーニャとポルケッタはタク店長が考案したリチェッタ(=レシピ)であり、その料理の腕前は確かなモノなのですがタク店長は常々「僕はあくまでサーヴィスの人間なので」というスタンスを貫いていて御自身の料理を前面に出すことは控えているのです。そんなタク店長が御自身の料理を主役にした初めての会ですから参加しない訳にはいきますまいて。
アンティパストやセコンド・ピアットは無くて冷製パスタだけを3皿食べる、合わせるワインも白ワインだけでそれもソアーヴェばかりを3杯というマニアック過ぎる構成です(笑)。


(左)焼きナスとバジルとポモドリーニのビアンコ冷製パスタ。サルサにはガルム(=魚醤)で旨味を足し、さらにパスタの下にナスとオリーヴ・オイルとで作ったプレ(=ピューレ)を敷いて途中でそのプレとパスタとを混ぜ合わせて食べることで味の変化を楽しめるようになっています。
(右)ベルターニ「ソアーヴェ2015」。アマローネの名門生産者であるベルターニが造る超カジュアルラインのソアーヴェ。そうそうソアーヴェってこんな味だよねと思う、まさにソアーヴェのド真ん中にあると言えるフレッシュで酸味も穏やかな造り。このソアーヴェを基準にすると色々なタイプのソアーヴェの個性がよりくっきりと分かるはずです。


(左)桜海老とニンニクのクレマの冷製パスタ。アッローストした干し海老で取ったダシが入ったニンニクのクレマがすごくまろやかで桜海老の苦味を引き立たせています。
(右)モンテ・トンド「ソアーヴェ・クラシコ カゼッテ・フォスカリン2013」。「ソアーヴェの特級畑」と言っても過言ではない単一畑フォスカリーノのブドウで造るこのカゼッテ・フォスカリンはほのかな甘味と苦味とが調和していてその甘苦味が桜海老の苦味と見事なまでにアッビナメントしています。


(左)ホタテ貝柱とペペローニの冷製パスタ。一見サルサ・ポモドーロ(=トマトソース)のように見えますがペペローニ(=パプリカ)のサルサです。これはタク店長が以前に勤めていたお店のリチェッタが原型になっているそうで、そのお店ではペペローニとトマトを混ぜたサルサをパスタに絡めて冷製の鶏胸肉をトッピングし最後にトウモロコシ粒フリットを振り掛けるのだそうですが今回はペペローニ100%のサルサで鶏胸肉ではなく生ホタテ貝柱を使い、仕上げには海老粉入りの天かすを振り掛けてあります。天かすには驚きましたがサクッとした食感が心地良いアクセントになっていますよ。
(右)レ・バティステッレの「ソアーヴェ・クラシコ バティステッレ2013」。2年前にBRAVURAにもやって来たレ・バティステッレが単一畑バティステッレのガルガネガ100%で造る骨太なソアーヴェ・クラシコ。樽は一切使用していないのに色もやや濃い目で骨格がしっかりしているのはブドウ自体の熟度の高さによるのでしょうね。
タク店長、お見事です!冷たい麺類て味が単調なのでどうしても途中で食べ飽きてしまうことが多いのですが3種類とも全て創意工夫が施されていて途中で食べ飽きることなく食べ切ることができました。まさしくタク店長のcuoco(=料理人)としての実力がいかんなく発揮された会でしたね。
【7/22追記】
同じ週の初めに冷製パスタ会で行ったばかりのBRAVURAで今度は少人数でのサブカルチャー食事会が催されました。会の発起人はバッハと大河ドラマをこよなく愛するM子さん。かって私が開催していた「郷土料理会」のメンバーでもあったお方で今回は神奈川県から仕事で出張してきている元出版業界に在職していた男性と別の友人女性と私とで4人での食事会でした。話題は過去の大河ドラマやガンダム、そして大阪イタリアン界のサブカル博士であるタク店長も交えての80年代アイドルについて(爆)。


(左)先ずはアフェッタート・ミストから。
(右)BRAVURA二大看板料理であるポルケッタ。

↑4人で3本のボトルワインを空けました。
左からシチリア州のバローネ・ディ・ヴィッラグランデ「エトナ・ビアンコ・スーペリオーレ2014」。このワインは今年1月にタク店長とmicoソムリエールから誕生日プレゼントとしていただいたワインで一人で開けるには勿体無いのでいつか誰かと分かち合う日までお店のワインセラー内に保管してもらっていたのが今宵ついに開ける時が訪れました。バローネ・ディ・ヴィッラグランデのカンティーナがあるミロはカリカンテの名産地でありミロ産カリカンテを80%以上使用したエトナ・ビアンコはスーペリオーレを名乗ることができ、同社ではミロ産カリカンテ100%で醸造しています。エトナ・ロッソに比してエトナ・ビアンコはあまり知られていないようでM子さんにも他のお二人にも好評いただきました。
中央はアブルッツォ州のマシャレッリ「モンテプルチアーノ・ダブルッツォ2013」。私がマシャレッリのワインが好きなことを知っていてmicoソムリエールが薦めてくれました。ファースト・インパクトはモンテプルチアーノらしい果実味と甘味とが来ますが後味がキレイで飲み疲れしません。
右はラツィオ州のカザーレ・デル・ジリオ「シラー2014」。カザーレ・デル・ジリオはその本拠のあるアグロ・ポンティーノの地に適したブドウ品種を見つけるために土着品種と海外品種とを合わせて約60種類ものブドウ品種を植えてみて実験。その結果、現在ではカベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、テンプラニーリョ、プティ・マンサン、プティ・ヴェルド、シャルドネ、ヴィオニエ等の海外品種に特化して独自のワインの世界を確立しています。このワインもM子さんが以前に興味を示したことを覚えていたmicoソムリエールが薦めてくれたものです。
初対面同士でも話題に共通項があれば楽しい時間が広がっていきます。そして、お客の嗜好を把握してのワインセレクトはmicoソムリエールが普段から一人一人のお客の顔を真剣に見ていることと真面目にワインと向かい合っていることの賜物です。杓子定規でないこういうサーヴィスこそ心に響きます。
一週間の間に2度も楽しい時間を過ごさせてもらったタク店長とmicoソムリエールとに感謝です、grazie mille!
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