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異例づくめのチャコリだけのメーカーズディナー

  バスク料理店「ETXOLA(エチョラ)」の2016年最初のメーカーズ・ディナーは異例づくめの会となりました。やって来たのはバスクのアラバ県オコンドにあるチャコリの生産者「セニョリオ・デ・アストビサ」の総責任者のジョン・スベルディア氏。そうです、昨年にシェリー生産者のシェリー尽くしの会を開催した平山オーナーがついにチャコリに始まりチャコリに終わるチャコリ尽くしの会の開催に踏み切ったのです。
 今回の日程が料理長の清水シェフのスペイン研修旅行の日程と被っているため、事前に清水シェフが考案したメニューを留守番の厨房スタッフが再現。また、今宵限りのスペシャルな助っ人として吹田市江坂の知る人ぞ知るスペインバル「LLENO(ジェノ)」の岡田シェフも緊急参戦。スペイン狂の「最強の同志」をして「大阪で、いや日本で一番美味しいパエージャが食べられるお店」と言わしめる岡田シェフが自店の定休日とはいえ他店にヘルプに入るなんてことは岡田シェフを知る人にはビックリ仰天の異例のことのようです。

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↑プロジェクターを使ってチャコリとボデガの説明に熱弁を奮うスベルディア氏。
  チャコリの生産地域のうちD.O.の認定を受けているのはD.O.ビスカイコ・チャコリーナとD.O.ゲタリアコ・チャコリーナとD.O.チャコリ・デ・アラバの三つのみ。セニョリオ・デ・アストビサのボデガと畑があるアラバは三つの地域のうち唯一内陸にある地域ながらも大西洋からそう離れていないため大西洋と内陸気候の両方の影響を受け、降水量が少なくブドウもよく熟すそうです。
  元々はブドウ農園だったセニョリオ・デ・アストビサは農学博士のホセ・イダルゴ氏と醸造家のアナ・マルティン氏とがタッグを組んで2006年にボデガに転身を遂げました。ブドウの収量を法定上限収量の半分に抑えて品質を重視する一方で他のボデガがまだやっていないことにも積極的に取り組んでいるとのこと。

<ワインリスト>
1.ソーヨ2015
2.アストビサ レイト・ハーヴェスト2014
3.アストビサ2014
4.マルコア2013
5.アストビサ・ロゼ2015 ※日本未輸入

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  かってはバスク地方の門外不出の地ワインと言われていたチャコリも輸送技術の発展に伴いこの数年で日本への輸出量が大幅に増えてどこのスペインバルでも飲めるようになりました。しかし、チャコリには微発泡タイプだけでなく発泡タイプや非発泡のスティルタイプ、ロゼもあることは余程のバスク好き、チャコリ好きでないと知らないでしょう。今回は微発泡タイプが1種類のみでスティルタイプが甘口とロゼ含めて4種類という微発泡タイプのチャコリしか知らない人なら驚く構成になっています。セニョリオ・デ・アストビサのワインは複数のインポーターが日本に輸入していてどこかの特定のインポーターとの協賛ではこの構成を実現させるのが難しいことからインポーターとの協賛ではなく木津市場内のスペインワインと食材の専門店「vinoteca PANENCA(ヴィノテカ・パネンカ)」との協賛なのです。実はvinoteca PANENCAの販売責任者のM氏は一昨年のボデガス・ウリベス・マデロのメーカーズ・ディナーの時の通訳さんで私が散々質問しまくって困らせた人なのです。この日は別の人が通訳だったので「今日は僕の時みたいな鋭い質問しないんですか?」といじられました(笑)。

  微発泡タイプのソーヨは日本市場で流通しているチャコリのほとんどが微発泡タイプであることを意識して意図的に微発泡タイプに仕立てたというもの。分かり易く青リンゴのニュアンスとフレッシュな飲み口。泡が抜けるのが早いですね。契約農家のオンダラビ・スリ80%とオンダラビ・スリ・セラティエ20%のブレンドでスベルディア氏は「オンダラビ・スリは味のブドウ、オンダラビ・スリ・セラティエはアロマのブドウ」と説明します。ちなみにソーヨはスベルディア氏の祖父が経営していたレスタウランテの店名なのだとか。
  レイト・ハーヴェストはセニョリオ・デ・アストビサがチャコリのボデガとして初めて手掛けた甘口チャコリで、11月後半から12月にかけての収穫というのはスペイン全土でも最も遅い収穫時期とのこと。ブドウ品種はオンダラビ・スリではなくイスキリオタ(グロ・マンサン)100%。アルコール分が高くなり過ぎないように調整しているそうで元々が酸度の高いブドウだからなのか穏やかな甘さです。
  アストビサは自社畑のオンダラビ・スリ90%とオンダラビ・スリ・セラティエ10%のブレンドでまさに「強酸」という言葉がピッタリの酸度の高さ。
  マルコアとはバスク語で「涙」を意味し、自社畑のオンダラビ・スリ100%使用でブドウを圧搾せず自重のモストだけを発酵するのでモストが滴る様子を涙に見立てて涙を意味するマルコアがワイン名に使われているそうです。第一印象はチャコリにしてはかなりボディがあるなというものでしたが時間の経過とともに温度が上がってむしろ重いとさえ感じるようになりました。これだけ重さを感じる白ワインはなかなかありませんね。
  日本未輸入のアストビサ・ロゼは自社畑の南向き区画のオンダラビ・スリとオンダラビ・ベルチェとを50%ずつブレンド。ちなみにロゼのチャコリをマグナムボトルで瓶詰めしたのもセニョリオ・デ・アストビサが初だそうです。淡いサーモンピンクなので軽いのかと思ったら色合いからは想像できないフルボディのごっついロゼです。正直チャコリで炭火焼きの肉料理と合うモノがあるのか半信半疑どころか疑いの方に大きく傾いていたのですがこのロゼなら豚肉や仔羊ともイケますよ。

  さて、スペインの原産地呼称制度には他とは際立った違いのあるテロワールの畑から生み出される高品質ワインを単一ブドウ畑限定高級ワインとして認定するヴィノス・デ・パゴVinos de Pagoという呼称があり、セニョリオ・デ・アストビサのチャコリもそのヴィノス・デ・パゴなのだという情報を事前に入手していたのですがスベルディア氏がそのことについて全く触れないので直接聞いてみました。すると、ヴィノス・デ・パゴ協会のような団体があってそこにお金を払わないとヴィノス・デ・パゴと冠することができず、セニョリオ・デ・アストビサは加入していないのでヴィノス・デ・パゴとは言わないが中身としてはヴィノス・デ・パゴに該当するとの回答でした。

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↑カウンター席から厨房の様子が丸見えなのがETXOLAの大きな魅力の一つ。

<コース料理>
1.フランス産ホワイトアスパラガスと小松菜のクレマ
2.フォアグラのトゥロン
3.アサリのアロス
4.根室産タラのピルピル
5.バスク産キントア乳飲み仔豚の炭火焼き
6.ソリアさんのイディア・サバルのムースとハチミツのアイスクリーム

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 (左)鮮やかな緑色の小松菜のクレマが思ったよりも苦味が無くてクリーミーです。このクリーミーさがソーヨのフレッシュさとよく合っています。全体的にあっさりな味付けなところにハモンの塩分がキリッと引き締めています。
 (右)本来のトゥロンとはバルセロナ名物菓子でフランス菓子のヌガーのようなものですが今回はレイト・ハーヴェストのチャコリと合わせるためのアテとしてのトゥロン。アーモンドクリームを混ぜたフォアグラのムースを長方形に成形し、上にクリームチーズとローストナッツをトッピング、添えられているのはイチジクのソース。見た目は完全にポストレですが中身はフォアグラ料理です(笑)。

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 (左)かなりあっさり仕立てなアサリのアロス。その奥に感じる出汁のような旨味とアストビサの強酸とが合うのです。
 (右)バスク名物料理であるピルピルは本来は干しダラをニンニクとオリーヴ・オイルとで煮詰めて干しダラの皮の部分のゼラチン質を溶け出させ乳化したサルサ・ピルピルと一緒に干しダラを食べるのですがこれはサルサ・ピルピルを先に作っておき加熱した生ダラにたっぷりとかけて食します。スベルディア氏の祖父が経営していた「ソーヨ」では野菜の入ったカエルゲームクラブ風ピルピル(?)という料理が名物だったという話があり、スベルディア氏に喜んでもらおうと岡田シェフの発案でピルピルがコースの中に入ったそうです。この日ベストの料理がこのピルピルでした。タラの切り身も大きいし濃厚なサルサ・ピルピルもたっぷりでボリューミーなのをマルコアのすごいボディと重さがしっかりと受け止めてくれます。

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 (左)バスクのキントア豚自体はETXOLAでは以前からよく使っている素材ですがその乳飲み仔豚というのは初めてです。しかもコチニージョ(=仔豚の丸焼き)風に皮目をカリッカリのクリスピー状に香ばしく焼き上げてあるところがまた良きかな。皮と肉との間の皮下脂肪が美味しいのです。アストビサ・ロゼの淡いサーモンピンクからはこの仔豚ちゃんと合うようには思えないけど上述の通りごっついロゼなので完璧なまでにマッチしています!
 (右)ポストレ名に謎の人物ソリアさんの名前があるので誰なのか聞いてみるとセニョリオ・デ・アストビサの近くで羊乳チーズのイディア・サバルを作っている人なんだとか。ここでレイト・ハーヴェストが再び登場。イディアサバルのムース自体にはあまり甘味は無くてハチミツのアイスクリームで甘味を添加する感じなのですが単に甘さだけでいうとフォアグラのトゥロンの方がかなり甘いです。

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↑平均年齢が若いETXOLA厨房スタッフの中で異彩を放ちまくりの岡田シェフ。平山オーナーから紹介されて「今日は皿洗いに来ただけなんで~」と冗談を返してはりますが乳飲み仔豚を炭火で焼いてるところを視認しましたしコース料理の随所でアドヴァイスが効いていたそうです。

  これまで色々な会に参加してきましたが今日ほど未知なる会は初めてでした。チャコリも実に奥深い、発見がたくさんありました。


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