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秋のSemplice さらにキレ味増す料理

  2月4月7月に続く今年4回目の中書島「Semplice(センプリチェ)」でのランチ会。最初に言ってしまいますが今回はこれまでのベストを更新する内容でした。珍しい素材もふんだんに使われているのですがそれ以上に西山オーナーシェフの心技体の充実振りが料理に表現されているように感じました。夜はこれまで7400円コースだけだったところに来年1月から新たに1万円コースも加わるそうで、西山シェフはその理由をより良い素材を仕入れられる環境が整ったからだと言いますが素材だけでなく素材を調理するご自身についても今まで以上の自信が出来て、それがランチコースの美味しさにも繋がっているのではないかと思う次第です。

<ランチコース>
1.モッツァレラと椎茸マリネと熟成但馬牛肉&生ハムと焼きイチジクと揚げレーズン
2.本日のサラダ カボスのソルベとパプリカクリーム
3.ツナペーストを詰めたトルテッリ 焼きナスとキノコ トマトのスープ
4.サンマとトウモロコシと万願寺唐辛子のタリオリーニ 青柚子の香り
5.熟成させた鰆 バターナッツとオリーヴ粉末と生姜エキス
6.さわやか富士の鶏と白肝クリーム 焼き冬瓜
7.ピオーネとチョコレート スパイス香るジェラート

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 (左)お付き出し2種盛りは北海道産モッツァレラと生ハムとを使うのがお決まり。左の方は、モッツァレラの上に赤酢でマリネした椎茸&タタキ状の熟成但馬牛&花穂紫蘇が重なっています。この椎茸の味の濃い~こと濃い~こと。さぞかし原木椎茸のエエのんだろうと思ったら「原木椎茸ではなく菌床栽培の椎茸なんですが日本で一人だけしかやっていない方法で菌床栽培している人の椎茸なんです」と驚きの回答が。花穂紫蘇も香り高いです。右の方は、生ハムの下に焼きイチジクと揚げレーズンが隠れています。カリッサクっに揚がったレーズンの揚げ方を西山シェフに質問すると「僕が揚げたんじゃないんです。レーズンをそのまま揚げると糖分が多いので焦げてしまうんですが真空状態にして沸点を下げてから糖分が焦げ付かないように揚げたレーズンを仕入れていまして、これを自家製でやろうとすると何百万円もする設備が必要になり、えらい高いレーズンになってしまいます」とのこれまた驚きの回答が。
 (右)本日のサラダは毎回どんなアレンジで来るのか大きな楽しみの一つで、今回は削りリコッタ・サラータとカボスで作ったソルベを振り掛け、パプリカクリームを添えたサラダ。カボスの苦味と酸味が絶妙の大人のサラダですね。美味しい野菜の中でも特に気に入ったのがキュウリ。今日の晴天のように青臭さ皆無の晴れやか爽やかなキュウリでした。

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 (左)トルテッリに詰めるツナペーストを作るのにツナを自家製するところから始めるというこだわり様。自家製ツナにカシューナッツと極少量のミルク、そして魚介の臭み消しにパプリカパウダーを加えて練った超美味ツナペーストはパスタの詰め物としてだけで食べるにはあまりに勿体無い、スライスバゲットに塗ってクロスティーニにして食べてみたいですよ。そしてトマトのコンソメスープ的な琥珀色をしたスープの製法も質問してみると、ドライトマトの戻し汁をヒヨコ豆の戻し汁で割ったものだとのこと。「ヒヨコ豆の戻し汁はそれ単体だと印象薄いんですが何かを割るのに使うと凄い力を発揮するんですよ」と西山シェフの言。そう言えば初訪問の時に食べたトルテッリの紅芯大根コンソメにもヒヨコ豆の戻し汁が使われていましたね。キノコはプルロット(フランス産の平茸)と松茸、そして上に添えられたレッドソレル(スイバ)も良いアクセントになっています。
 (右)日本人はサンマ大好きなのでサンマを使ったパスタ自体は珍しくありませんがこんな表現方法もあるのだと感動するサンマのタリオリーニ。生のサンマの身をサンマの肝で和えてから表面をサッと炙り、後はタリオリーニの熱が加わるだけなので状態はティエピド(生温かい)。こちらにも長野県産のクリフウセンダケという珍しいキノコが入っています。ティエピドのサンマ、香りの青柚子、ピリッとした辛味の万願寺唐辛子、甘味のトウモロコシ、サルサがよく絡まるようにあえて麺幅を不均一に手切りしたタリオリーニが一皿の中で完璧に一体化しているのです。

  魚料理の写真を何と痛恨の撮り忘れ!調理法だけ説明すると、鰆を7日間熟成させて8日目になってようやく皮目をサッと炙って身の方にも極めて丁寧な火入れをして提供されました。熟成によって身の歯応えは失せますがネットリとした食感となり旨味が凝縮され、口内で繊維が自然とほどけていきます。そう、「ほどける」としか言い様が無いです。

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↑静岡県富士宮市にある青木養鶏場のブランド鶏「さわやか富士の鶏」の肉とその白肝を使用。見ての通り鶏肉の断面が綺麗な薄ピンク色で、植物性タンパク質の飼料で育てた鶏肉自体の品質の良さと西山シェフの火入れの妙とが合わさってなせる業(わざ)。先に皮を香ばしく焼いて我々の食べるスピードを見ながらじっくりゆっくりと火入れしていったそうです。この美しさはまさしく「乙女の柔肌」。下に敷いた冬瓜も富士の鶏の骨でとった出汁で炊いてからソテーしてあります。

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 (左)スパイスの効いたジェラートにチョコレートソースと極薄スライスしたピオーネを添えたドルチェ。
 (右)最後は定番の小菓子とコーヒー、そしてKさんのイタリア土産の美味しいウエハースで。

  ワインは前回に引き続き今回もワインコレクターMさんが西山シェフの料理に合いそうなワインをセレクトして持ち込んで下さいましたのでお店ではスプマンテをオーダーすることに。見ているだけで楽しくなるワインリストもリストに記載していない新入荷品が増えてきたので近々書き直しを予定しているとかでリストにまだ記載していない珍しいスプマンテをお薦めしてもらいました。

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 ↑ヴェネト州のフォンガロ「レッシーニ・ドゥレッロ・リゼルヴァ2008」。フォンガロはレッシーニ山の麓ロンカにて約40年前からビオロジック農法を実践しているカンティーナで、同社のワインの輸入が途絶えていた時期があったそうですが現在はイタリア商事株式会社が輸入しています。レッシーニ・ドゥレッロは土着品種ドゥレッロ100%もしくは主要品種に使って造るスプマンテで、シャルマー方式(ステンレスタンク内二次発酵方式)で造るカンティーナが多い中、フォンガロではメトード・クラシコ(瓶内二次発酵方式)のレッシーニ・ドゥレッロしか造っていません。レッシーニ・ドゥレッロ・リゼルヴァはヴェローナの北東郊外にある畑とレッシーニ山塊の麓にある畑のドゥレッロをブレンドして超長期瓶内二次発酵を行うフォンガロのフラッグシップワイン。裏エチケッタの表記を見ると、2008年に収穫したドゥレッロをステンレスタンク内で一次発酵させてワインを醸造し、2009年6月30日に酵母と共に瓶詰めして瓶内二次発酵開始。瓶内二次発酵を終えて動瓶によって澱を集めてズボッカトゥーラ(=澱引き)したのが2013年10月23日となっています。これだけの手間暇掛けられたレッシーニ・ドゥレッロですからもちろんお値段もそれ相応ですし味も並のレッシーニ・ドゥレッロとは比較になりません。厚みが全然違います。

 ここからMさんの秘蔵ワイン三連発↓当初はヴォドピーヴェッツとモンキエロ・カルボーネの2本がカウンター上に並べられたのでこの2本だけ持参なさったのだと思っていたのですが、私が「メイン料理は鶏肉ですしピエモンテのネッビオーロかシチリアのエトナ・ロッソとかが合いそうですね」と言ったらMさんが「エトナ・ロッソあるよ」と言ってイ・ヴィニェーリを取り出してきたのにはビックリしました(笑)。

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 (左)フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州のヴォドピーヴェッツ「ヴィトフスカ・ソーロ2010」。石灰岩の岩盤を砕いて表土を戻して畑にした区画で栽培されたヴィトフスカ100%使用。ヴォドピーヴェッツのヴィトフスカはこれまでにも何度か呑んできましたが今回が最上です。染み入る、ただただ滋味深い。
 (中央)ピエモンテ州ロエロのモンキエロ・カルボーネ「バルベーラ・ダルバ モンビローネ2003」。今年4月に私にAldoアルドのイタリア名をくれたフランチェスコ・モンキエロ氏が醸造学校を卒業してモンキエロ・カルボーネを手伝うようになったのが1995年のことなので2003年というとお父さんのマルコ・モンキエロ氏がバリバリの頃のヴィンテージですね。現在は株式会社アルトリヴェッロが輸入していますがこのワインはもちろん別の会社が輸入したものです。コルクがかなりフカフカになっていて抜栓するのに西山シェフに悪戦苦闘してもらう羽目に・・・。思った以上に熟成が進んでいて全ての角が取れてまろやか~滑らか~、黒蜜のようなニュアンスもありました。
 (右)シチリア州のイ・ヴィニェーリ「エトナ・ロッソ ヴィヌぺトラ2006」。イ・ヴィニェーリはベナンティやグルフィのコンサルタントを務めているサルヴォ・フォーティ氏が自分で起こしたカンティーナで、フラッグシップワインであるこのヴィヌぺトラには所有する畑の中でも最も樹齢の高いネレッロ・マスカレーゼとネレッロ・カップッチョに極少量のアリカンテと謎のフランス品種をブレンドしているようです。エトナ・ロッソらしい綺麗さを持ちながら大地のエキス分を凝縮濃縮したようなどっしり感もあり、エトナの奥深さを感じました。

  グラッパの品揃えが豊富なことは知っているのでデザートワインはどうなのかなと思って西山シェフに尋ねてみるとスゴイ光景を見ることになりました↓

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↑デザートワインだけで9種類。グラッパの種類もどんどん増えていっているので食後酒全体で今や20種類以上もあるとか!圧巻なのは左端にあるラ・ビアンカーラのレチョートのマグナムボトル。

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 ↑私が選んだのはトスカーナ州パンツァーノ・イン・キァンティのファットリア・モンタリアーリ「ヴィン・サント・デル・キァンティ・クラシコ1995」。注目のインポーターであるエヴィーノが輸入しているのがこれを選んだ一番の理由です。

  毎回毎回、こんなスゴイ料理を作るシェフが同年代であることに驚きつつ誇らしく思います。

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