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やはりスゴかった!アルベルト・アントニーニ氏来阪

  イタリア・トスカーナ州から大物生産者の来日が2週続きます。先週の「レ・マッキオーレ」と同じく株式会社モトックス取扱いの「ポッジョ・トンド」から当主のアルベルト・アントニーニ氏が来阪、「LA VINERIA BRAVURA(ラ・ヴィネリア ブラヴーラ)」にてアントニーニ氏を囲んで気軽な会が催されました。
  アントニーニ氏はポッジョ・トンドの当主という立場よりも世界を股にかける醸造コンサルタントとしての立場の方が圧倒的に有名でしょう。フィレンツェ大学&ボルドー大学&UCデーヴィス校で学んだ後にフレスコバルディ、コル・ドルチャ、アンティノリ、ビービー・グラーツ等で活躍。世界中に顧客ワイナリーを持つ醸造コンサルタント業と並行して2001年から実家のポッジョ・トンドを継いで自身の造りたいワインを造っています。
  ポッジョ・トンドはキァンティ地区西部、海岸まで60㎞の距離のチェレット・グイディにあります。ポッジョ・トンド=丸く小高い丘で、その名の通り所有畑は小高い丘の上にあるとか。この地で造るアントニーニ氏自身のワインとは「土地から感じる強烈な感覚とともに造るテロワールを象徴したワイン」でありそのための農法としてビオディナミを実践しているそうです。ポッジョ・トンドの畑のテロワールの大きな特徴は、大昔海底だったために地中に貝殻の化石がたくさん埋まっていることです。醸造においても天然酵母のみを使用しセレクト酵母(培養酵母)は使用しない、ステンレスタンクではなくセメントタンクを使用しています(この点については後述)。

  ポッジョ・トンドと言えば、そのキァンティ・リゼルヴァ2008が4月にBRAVURAで開催したトスカーナ尽くし会で活躍した思い入れのある生産者。あのキァンティ・リゼルヴァよりも上位のワインがお披露目となるとあって楽しみにしていました。

<ワインリスト>
1.ポッジョ・トンド・ビアンコ2011
2.ポッジョ・トンド・ロッソ2011
3.キァンティ・スーペリオーレ2010
4.キァンティ・リゼルヴァ2009
5.キァンティ・リゼルヴァ ヴィーニャ・デッレ・コンキリエ2009
6.マルモレッチャ2008

  ポッジョ・トンドで現在リリースしているのは上記6種類のワイン(2年後に新しいワインをリリース予定、詳細は後述)。今回のイベントでは最初に1or2を選択し、それに3~6の赤ワイン4種類を合わせた5種類のワインをテイスティングできるという趣向。稀少品である5&6の上代を考えると非常にお得、いや大奮発と言っていい価格設定でした。私は2を選択して赤ワイン5種類を制覇することに。

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  今回の5種類のテイスティングで最大の発見はポッジョ・トンド・ロッソとキァンティ・スーペリオーレの完成度の高さです。正直な話、上代1365円のポッジョ・トンド・ロッソなど値段相応の軽~いワインだろうと高をくくっていたのが見事にやられました。上代2100円のキァンティ・スーペリオーレともども価格的にはデイリーワインのクラスになるのに何なんだこのクオリティーの高さは!?日常的に呑めるワインの重要性も熟知しておられるアントニーニ氏、スゴイお方です(本日1回目)
  ポッジョ・トンド・ロッソはサンジョヴェーゼ&メルロー&シラーの3種ブレンドで各品種の新鮮な果実味と柔らかさを最大限に引き出すスタイルだとインポーター資料に書いてありますが実際に呑んでみるとその通りなのです。キァンティ・スーペリオーレはサンジョヴェーゼ90%にメルロー10%を合わせ、あまり樽香が付かないよう内側をローストしていないフランス産樽で12ヵ月熟成。キァンティ・リゼルヴァは選りすぐったサンジョヴェーゼ90%&メルロー10%の組み合わせで樽熟期間も24ヵ月と長い目。重厚でパワーに溢れた2008年ヴィンテージと比較すると2009年ヴィンテージは濃密ながらもエレガントさも併せ持っていて幾分柔らかい印象です。
  ヴィーニャ・デッレ・コンキリエは、丘の一番高いところにあって貝殻の化石がゴロゴロしていることから「ヴィーニャ・デッレ・コンキリエ(貝殻のブドウ畑)」と命名された0.86haのコントラーダ(単一畑)のサンジョヴェーゼ100%で造るアントニーニ氏入魂のキァンティ・リゼルヴァ。サンジョヴェーゼは父親の代の1990年に植樹したものだそうです。タンニンが細やかでヴェルヴェットのような滑らかな口触り、ミネラルも感じます。明らかに通常のキァンティ・リゼルヴァよりも一段上に行っています。アントニーニ氏、スゴイお方です(本日2回目)。
  マルモレッチャも0.75haのコントラーダのシラー100%で、細かく砕けた貝殻の化石が埋まった土壌が太陽光を浴びて光る様子がマルモ=大理石のようだというところから畑にマルモレッチャと命名したそうです。先日のレ・マッキオーレのスクリオがシラーの一般的特徴とは異なる独自で唯一無二の個性を確立したワインとするなら、このマルモレッチャは呑んですぐにシラーのワインだと判るシラーらしい特徴を追求しているワインですね。2週続けてトスカーナ産シラー100%のワインを呑んでその個性の違いを感じることができてラッキーです。

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↑会の様子、通訳はもちろん週一ソムリエの高岡ソムリエ。この写真を見ると堅苦しいセミナーのように見えますが実際はBRAVURAお得意のユル~イ雰囲気で皆さんリラックスしています。
 今回、事前に質問リストを作成して高岡ソムリエからアントニーニ氏に聞いてもらいました。その返答内容に加筆して質疑応答形式に再現してみました↓

質問:アントニーニ氏が継ぐ以前のポッジョ・トンドのワインはどんなワインだったのですか?
返答:ポッジョ・トンドは元々、父親のカルロが自分の趣味のために始めたワイナリーだったので本格的なワイン造りは自分が継いでから。

質問:3つの大学で学んだこと、教え方の違いは?
返答:どの大学でも教えるのは近代醸造の慣例的なテクニックであって自然をリスペクトする醸造ではなかった。今私が実践している醸造は私の長年の経験から私自身の中から沸き起こったような醸造だ。

質問:ビオディナミを行って手応えは?
返答:月の満ち欠けとか牛糞を牛角に入れて撒くとかよりもケミカルなものを排除していくことを重視している。栽培における化学肥料等の散布、醸造におけるセレクト酵母の添加、ステンレスタンクによる発酵は”死んだ醸造”と考える。ステンレスタンクは無味無臭で、私が使うガラスコーティングしないセメントタンクや木樽での発酵=”生きた醸造”とは対極的なものだ。

質問:コンサルタントの依頼があった時に最初に気になることは?
返答:先ずはそのワイナリーの畑の土壌を見る。

質問:マルモレッチャの土壌でシラーを植えようと考えた理由は?
返答:私はスパイスの効いたシラーが好きで、この畑でならスパイスの出やすいシラーが育つと考えたから。


  アラカルトで好きにオーダーする料理も、トスカーナの生産者の来店ラッシュでテンションが上ゲ上ゲなこーじシェフがアンティパスト・ミスト、プリモ・ピアット2種類、セコンド・ピアット2種類を用意。

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(左)アンティパスト・ミスト・トスカーノは、トリッパ・アッラ・フィオレンティーナやクロスティーニ・ディ・フェガート、ポレンタ・フリッタ、サラーメ等。
(右)ピチ・アル・ラグー・ディ・チンギアーレは一本一本手延べした自家製ピチにイノシシ肉の塊がゴロゴロしている濃厚ラグーソースを絡めて。

  アントニーニ氏もこーじシェフの料理を絶賛。ポッジョ・トンドにまつわるクイズ大会で盛り上がっている様子に「スゴイね。私も君たちのように常に攻めの姿勢で創造的な事をやろうと心がけてる。ブラヴーラのようなお店といっしょにやれて本当に良かった!」と言ったそうです。「攻めの姿勢で創造的」なことこそBRAVURAがオープン以来追求し続け実践していることですよね!それを見抜いたアントニーニ氏やっぱスゴイお方です(本日3回目)。

  最後に重大発表が。今後「キァンティ・リゼルヴァ・ヴェントット」という新しいワインを発表する予定だそうです。ヴェントットとはイタリア語で数字の28を意味し、1928年に植樹した古樹のサンジョヴェーゼ&カナイオーロ&コロリーノでワインを造ることから命名したとのこと。このワインを引っ提げて2年後にBRAVURA再訪を約束してくれはりました。また2年後にお会いしましょう~!

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