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シャトー・メルシャン 日本のメルローの30年

 日本ワインのトップ生産者シャトー・メルシャンが開催するセミナーに参加してきました。今回のセミナーはメルシャンのトップワインである桔梗ヶ原メルローと桔梗ヶ原メルロー シグナチャーとを各3ヴィンテージずつ比較テイスティングするというものなのですが、スペシャルゲストとしてメルシャンと醸造アドバイザー契約を交わしているポール・ポンタリエ氏が招かれていました。ポンタリエ氏と言えばフランス・ボルドー地方メドック地区の第1級「シャトー・マルゴー」の醸造総責任者。シャトー・マルゴーは先代のジネステ家が所有していた1960~1970年代中盤に大きく品質と評価を落としていましたが1976年にマルゴーの所有権を買い受けたメンツェロプーロス家によって復権、現当主コリーヌ・メンツェロプーロス氏を1983年から支え続けてマルゴーの確固たる地位の確立に尽力し続けている人物です。

  セミナーは、メルシャンのゼネラル・マネージャー斎藤浩氏とポンタリエ氏とが交互に話す形式で進行。
  先ずはシャトー・メルシャンの沿革からスタート。1877年(明治10年)に日本初の民間ワイン会社として創立した「大日本山梨葡萄酒会社」をルーツとし、1949年に戦後初の本格ワインブランド「メルシャン」が誕生、1970年から現在のシャトー・メルシャンの名称に。明治期は栽培が容易なコンコード種を主要品種とし、耕作地の有効活用のためにヨーロッパの垣根式栽培ではなく棚式栽培を採用(山梨県が先行して棚式栽培を行っていたのでノウハウを学んだそうです)。1975年にコンコード種等で造っている甘味果実酒の消費量を果実酒の消費量が上回ったのを契機に、1976年にコンコード種やナイアガラ種の栽培からメルロー種の栽培への転換を農家に依頼。ちなみにこの時に何故メルロー種が選ばれたのかというと、桔梗ヶ原を一大ブドウ栽培地にまで成長させた林農園の林五一氏の息子:幹夫氏が「色々なヨーロッパ系品種を桔梗ヶ原で植えたが寒波でやられてしまった。どうしてもやるなら、強いて言うならメルロー種かな」と言ったからなのだとか。結果的に桔梗ヶ原メルローは大成功となりますが、この時点でメルロー種が成功する確信は全くなく、にもかかわらずメルロー種オンリーの栽培に切り替えるのは「非常にリスキーなことだった、後になって考えると幸運だったとしか言いようがない」と斎藤氏。
  セミナー中に何度も繰り返し用いられた言葉が「フィネス&エレガンス」。メルシャンのワインのスタイルを表す言葉であり、「調和のとれた上品な味わい」という意味で用いられます。

  桔梗ヶ原メルローのテイスティングは以下の3ヴィンテージ。1990年ヴィンテージはポンタリエ氏が初めて桔梗ヶ原メルローを飲んだヴィンテージで、メルシャンのシニア・ワインメーカー藤野氏がフランスまでボトルを持って行ってポンタリエ氏にテイスティングを依頼したそうです。2002年ヴィンテージは2009年のリュブリアーナ国際コンクールと2003年の第5回国産ワインコンクールとで金賞受賞。2007年ヴィンテージは垣根式栽培のブドウ76%と棚式栽培のブドウ24%をブレンド、2012年ヴィナリ国際ワインコンクールで金賞受賞。

シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー1990
シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー2002
シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー2007

DSC_3134.jpg
 先ずは私のテイスティングコメント「1990年ヴィンテージはグラスから立ち昇る香りの予想外の強さに驚きました。23年も前のワインなのでもっと枯れて香りも弱弱しいのを想像していたら酸味もかなり強くあります。色調にも熟成感出ていますがレンガ色にまでは行ってません。2002年ヴィンテージは極めてレベルの高いワインで棚式栽培のブドウでも十分に美味しいワインが造れると思いました。2007年ヴィンテージはしっかりどっしりボディで鉄分を感じます。」
  ポンタリエ氏のテイスティングコメント「1990年ヴィンテージの欠点は香りが青い野菜、口中に後味で苦味が残ってしまう。これは垣根式栽培でないことに起因するのでは。棚式栽培の欠点は影が出来てしまい全てのブドウに十分に日光が当たらずワインに青っぽさが出てしまう。逆に良い点は、フィネス、タンニンが溶け込んでいて余韻もある。2002年ヴィンテージにもまだ青さがある。肉があるがそれが強過ぎるのは抽出し過ぎなのでは。2007年ヴィンテージはバランス良く心地良い。リッチ、複雑味、肉感的でまろやか。苦味と青さは完全には消えていないがこのワインにまでなるとそれがテロワールの特徴になっている。垣根式栽培にした良さと適切な抽出の成果と思う。」

  続いてシグナチャーのテイスティングです。シグナチャーは桔梗ヶ原メルローの中でも特に厳選されたスペシャル・キュヴェで、生産本数は毎ヴィンテージ2000本に届かないという少量です。テイスティングしたのは以下の3ヴィンテージ。1999年ヴィンテージはシグナチャーのファーストヴィンテージ、2002年ヴィンテージはポンタリエ氏のアドヴァイスに基づくアッサンブラージュ、そして2009年は今年9月にリリース予定の最新ヴィンテージ。

シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー1999
シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー2002
シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー2009

DSC_3135.jpg
  私のテイスティングコメント「1999年ヴィンテージから青さを感じる。日本産メルローのワインを呑んだ時に共通して感じることの多いこの青さは個人的に好きではない要素。青さを持った日本のメルローの上級ワインと言ったところ、これはこれでレベルは高いとは思いますが。2002年ヴィンテージは日本のメルロー(個人的にあまり良い意味ではない)から違う段階へのステップアップの過渡期のワインという印象。2009年ヴィンテージは日本産メルローワインとは思えない重厚さ、明らかに違う次元のワインとなっています。」 
  ポンタリエ氏のテイスティングコメント「1999年ヴィンテージは若干の青さや苦味はあるがバランスとフィネスは十分にある。2002年ヴィンテージは桔梗ヶ原メルローと共通の青さがあるのは残念だが全体のバランスがとれている。2009年ヴィンテージは今回の来日で最も感動した『発見』、特別なワインだ。ワイン全体の香りが綺麗で青さもほとんど消えている。アグレッシブさがない、つまりバランスが良いということ。メルシャンチームに最高のおめでとうを言いたい。既に完成体のワインだが4~5年後にはさらに上がるだろう。それ以上先のことは私にも分からない。」

  このセミナーの中で最も印象深かった言葉がポンタリエ氏の「ブドウ栽培・ワイン醸造は教育と同じ。親が子供の方向性を決めるのではなく子供の個性に合わせていくもの。」


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