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akordu 奈良の地のモードスパニッシュ

 フランス料理であれイタリア料理であれスペイン料理であれ伝統的な郷土料理が好きです。現代的な料理に正直あまり興味はなく、第一そういう料理を提供するお店は高級レストランですから予算的にも縁遠い存在です。今回、東京・代々木八幡にあるスペイン料理店「Ardoak(アルドアック)」の酒井涼オーナーシェフが関西でおまかせコースのみで提供しているレストランの視察に来ていて、彼のお誘いで奈良・富雄にあるモードスパニッシュレストラン「akordu(アコルドゥ)」に一緒に行くこととなりました。初めて食べるモードスパニッシュ、これも勉強です(笑)。

 Akorduはバスク地方の言葉で「記憶」を意味し、フレンチを学んでからスペインに渡った川島オーナーシェフが料理を食べた人の記憶に届く料理をコンセプトにして2008年にオープンさせたお店です。

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↑近鉄奈良線富雄駅から徒歩1分の場所にあるとは思えない異空間な建物がそびえ建っています。1階がパン販売&バル営業スペース、2階がレストランとウェディングスペースになっています。
 料理は11皿程の料理で構成される<クロロフィリア>と9皿程の料理で構成される<アコルドゥ>のおまかせコース2種類のみ。今回は涼さんがクロロフィリアで予約してありました。

<クロロフィリア>
1.たった5秒の海2013 乾かした葉とトリュフ
2.野山の鹿 ナッツの土と新芽
3.オリーヴオイルの砂 日本のネギと椎茸 土の香り 卵黄とスミレ
4.フォアグラのテリーナ ウニと椎茸 春の大和真菜
5.初夏の風景 稲穂と巻貝 冷たい水と田の土
6.三輪の海藻素麺 木の芽のジェノヴェーゼ 海老のポジェとマス卵
7.イサキとキュウリ 貝のクリーム フェンネルと青リンゴ
8.香川オリーヴ牛 芥子菜とマスタード
9.スペイン産チーズとメンブリージョ
10.レモンクリームと柑橘のグラニサード
11.メロンの冷たいソバ セロリとバジル風味のビスコッチョ

  クロロフィリアの内容は各席にセッティングされているリストに記載されていますが料理名を見ただけでは一体どんな料理なのかさっぱり分かりません。故に一皿ごとにサーヴィススタッフさんによる詳細な説明がなされます。

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 (左)たった5秒の海は、熱々の黒い器の中にサッと熱を加えた牡蠣と刻みトリュフのスープが入っています。山菜なのに青海苔の風味がするというのはこの料理の特徴です。
 (中央)野生の鹿は、夏鹿と夏鹿が歩く野山の大地や緑を皿の上で再現しているのですね。
 (右)オリーヴオイルの砂はまさに「砂」の食感です。どうやって作っているのか製法を知りたいです。
 
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 (左)フォアグラのテリーナは個人的にこの日のベストヒット。すごく滑らかで上品です。
 (中央)初夏の風景は水田をイメージしていることが視覚的にも判りやすいです。
 (右)「三輪 海藻素麺」を調べてみたところ「株式会社三輪そうめん山本」の商品に「手延べ海藻めん」という商品があって、それを使用しているのでしょうかね。バジルではなく木の芽ペーストでジェノヴェーゼにし、マス卵まであると完全に和的な一皿ですがもちろんお箸ではなくフォークにパスタのように巻き付けて食べました。

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 (左)緑をあしらった料理が多い中で最も鮮やかな緑色のキュウリソースが映えます。
 (中央)オリーヴ牛は香川県の新たな名産品。国産オリーヴの名産地として有名な小豆島産のオリーヴの実を搾油後に飼料にして与えて育った讃岐牛がオリーヴ牛です。せっかく美味しい牛肉を見事な焼き加減で焼いてあるのでもうちょっと量が欲しいところです(笑)。
 (右)マンチェゴはマンチェゴ種の羊の乳から作るハードタイプチーズで、添えられたメンブリージョはマルメロという花梨に似た果物の実を煮詰めたジャムです。

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 (左)グラニサードはシャーベットのようなものです。
 (右)ビスコッチョはイタリアの伝統的固焼き菓子のビスコッティと響きが似ていますが全く逆のスポンジケーキのことです。

 既に何度も訪問している涼さんが「ここの料理は白ワインだけで通せる、これまでに赤ワインを注文したことが無い」と言うので、モエ・エ・シャンドン社がオーストラリアで作るスパークリングワイン「シャンドン・ブリュット サマーボトル」で乾杯した後、白ワインをボトルで2本開けました。

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 (左)涼さんセレクトのラファエル・パラシオス「アス・ソルテス ヴァル・ド・ビベイ2011」。ガリシア地方ヴァルデオラスでラファエル・パラシオスが土着品種ゴデーリョ100%で造る極上の白ワイン、今まで呑んだスペイン白ワインの中でダントツぶっちぎりに美味しい白ワインです。その美味しさに比例してインポーター希望小売価格(上代)も5000円ちょいする訳ですが。。。ブラインドで呑んでみましたがゴデーリョなんて品種呑んだのこれで2回目なんで判る訳ないですな。
 (中央)私が気になったぺネデス地方のフィンカ・ヴィラデジョブス「フィンカ・ヴィレデジョブス2004」。チャレッロとヴィオニエとのブレンドでかなり変態的なワインですがこれまた大当りの美味しさ。
 (右)リアス・バイシャス地方のアルバリーニョの名手ボデガス・フィジャボアのオルッホ。オルッホ用に栽培されたアルバリーニョから造るレア物オルッホなので堪らず頼んでしまいましたがこれは明らかに呑み過ぎでした。

  コース料理を食べ終えた感想ですが、コース料理に川島オーナーシェフの哲学が込められていることは感じました。料理名だけではどんな料理なのか全く予想できない、実際に食べてみると成程こういうことなのか、言い得て妙な料理名だと納得します。後で知ったのですが川島オーナーシェフは先に料理名を決めてそのイメージに合わせた素材と調理法を選択していくのだとか。涼さんの言葉通り、料理の味付けも優しい味付けなのでコース全体を通してスパークリングワインと白ワインで通せます。もし赤ワインも合わせるとするとフランス・ブルゴーニュ地方のピノ・ノワールが最も合いそうですね。
  ただ、疑問点もいくつか残ります。
  お店の情報を全く持たずにこの料理を食べたらフレンチだと思ってしまうかもしれません。川島オーナーシェフがフレンチとスパニッシュと両方学んでいる方なので双方の良い部分が融合しているのでしょうが、モードスパニッシュとは何なのか?フレンチとどう違うのか?がよく解りません(そのような区別自体が意味をなさないという意見もありますが)。
 また、その料理哲学を表現するのに果たして11皿もの皿数が必要なのか?今回のコースでも料理は8皿目の肉料理までで、9皿目はチーズ、10&11皿目はデザートです。マンチェゴは良い熟成具合で美味しかったのですがこれが無いとコースが完成しないと言える程の存在意義があるのか?とも思います。チーズは人によって好き嫌いがはっきり分かれますし、例えば私のイタリア好き仲間に羊乳チーズが苦手な人がいますが予約時にチーズが苦手であることを伝えたら対応してもらえるのかも気になります。冷たいデザートを2皿に分けて提供するものそうしないといけない必然性があってのことなのでしょうが果たして。。。

 一度食べただけでその料理哲学を全て理解することなど到底できないので川島ワールドをもっと深く知るために何度か食べに来てみる必要がありますが予算を考えるとそうそう来られるお店ではないですよね(汗)。その問題を解消できるかもしれないのが大阪への出店計画。四天王寺の鷲谷商店も出店する中之島のダイビル本館に、本店のような高級レストランではなくバスク地方のバルを再現したバル・アサドールとして「Donostia(ドノスティア)」という新店を出店するそうです。アサドールというのは炭火焼きのことなので炭床を置くのでしょうかね。本店のセカンドシェフとバスク帰りのシェフとがタッグを組むとのこと、巷に溢れかえったスペインバルとは一線を画す存在となるはずです。


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