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ヴァル・サンソ公式メーカーズディナー

  昨年3月に心斎橋の「BAR Hemingway(バー・ヘミングウェイ)」での非公式ワイン会にて知り合ったスペインの生産者「ヴァル・サンソ」の5代目当主ハヴィエル・ロドリゲス氏を囲んでの公式メーカーズディナーの計画があることをインポーターの株式会社アズマコーポレーションの担当DS氏から聞いたのは随分と前のことです。その会場がバスク料理店「ETXOLA(エチョラ)」とあればこれは参加を決めるのに1秒も要しないでしょう。

  DS氏の御厚意で、私と友人とはハヴィエルさんと同じテーブルにしていただけました。しかも私はハヴィエルさんの真正面ですがな(汗)。DS氏は司会進行だけでなく通訳&解説も兼ねています。ヴァル・サンソはルエダで1810年に創業し、2002年からリオハにも畑を所有。ハヴィエルさんは農業工学技術者であり土壌分析のスペシャリストです。まさにインテリジェンスとエロスとを兼ね揃えたエエ男はんなんですよ。

<ワインリスト>
1.ヴェルデホ・フリザンテ2012
2.ヴィーニャ・サンソ ヴェルデホ2011
3.ヴィーニャ・サンソ ソーブレ・リアス2011
4.ラクリムス・ファイブ2011
5.ラクリムス・レックス2010
6.ティー・サンソ テンプラニーリョ2007
7.ラクリムス・クリアンサ2008
8.テンプラニーリョ・フリザンテ・ロサド2012

  ワインサーヴの順番とそれに合わせたコース料理の構成はETXOLA側に完全おまかせでDS氏も事前に教えてもらえなかったそうです。完璧な組み立てだという平山オーナーソムリエ&山本シェフの自負、そして事前情報無しでも進行をこなしていくDS氏。まさにプロの姿を御三方に見ました。
  8種類のワインの中でもちょっとした目玉なのが新入荷の2種類のフリザンテ(微発泡性ワイン)。DS氏曰く「スペイン全土でもフリザンテの生産自体が非常に珍しくてヴァル・サンソを含めても4社程度しか造っていない。しかもヴェルデホ種のフリザンテとなるとヴァル・サンソはスペイン初の生産者。他社はガス添加による微発泡だがヴァル・サンソは自然発酵による微発泡」。そんな非常に珍しいヴェルデホ・フリザンテを造ってみようと思ったきっかけをハヴィエルさんに尋ねてみると「ヴィーニャ・サンソ ヴェルデホには樹齢40年以上の樹のヴェルデホを使い、ソーブレ・リアスには樹齢100年以上のフィロキセラ被害を受けていない樹のヴェルデホを使う。そのどちらにも使わない樹齢の若い樹のヴェルデホの活用法として実験的に始めてみた」とのこと。ガス圧は等圧ガスタンクで2.4気圧に保たれています。トロピカルフルーツやパッションフルーツの香り、甘味と酸味の程よいバランスで猛暑だったこの日の乾杯に相応しい1杯でした。
  ソーブレ・リアスはフランス語のシュール・リーと同義の言葉。上述の樹齢100年以上のプレ・フィロキセラの単一畑「ロスポブレ」のヴェルデホをステンレスタンク内で野生酵母により発酵させた後に澱と1:1の比率でフレンチオークの新樽に詰め込みバトナージュ(撹拌)をします。ワインと澱とが同比率なので撹拌して澱がワインと混ざり合って舞い泳いでいる様子はなかなかに壮観だそうです。こうして出来上がったソーブレ・リアスはまさにヴァル・サンソのワインの顔であり、スペイン白ワインの中でもトップクラスのクオリティーだと今回を含めて3回呑んでいる私は確信しています。かなりの樽香が効いていますが澱が樽香を吸収してくれているのでこれでも抑え目なのです。ハヴィエルさんはこのワインを「最低でも5年は熟成する」と言い切ります。
  ラクリムス・ファイブはテンプラニーリョ100%でアメリカンオークによる熟成を行い、ヴァニラ香に大きな特徴があってハヴィエルさんも「飲みやすいタイプのワイン」と表現しています。昨年3月に呑んだ時に「特徴がはっきりしていて分かりやすいワインだけど自分の好みではないな」と感じました。しかし改めて呑んでみて「こういうワインも有りだな。これはこれで良いな」と素直に前向きに思えました。
  ラクリムス・レックスは標高530mの白亜紀の土が向き出す畑のガルナッチャ75%とグラシアーノ15%。レックス(恐竜)という名前が付いているのは白亜紀の土壌に由来しているそうです。口内に残る爽快感&清涼感はユーカリを連想させます。
  ティー・サンソ テンプラニーリョはリベラ・デル・ドゥエロ、トロ、ルエダの標高が異なる三か所の畑のテンプラニーリョをブレンドし、新樽ではなく2~3年目のフレンチオークを主体とした樽で12ヵ月熟成。その前のラクリムス・ファイブが甘いヴァニラ香に、ラクリムス・レックスがユーカリのような爽快感&清涼感に特徴があったので、その後にこのワインを呑むと「化粧気のないスッピンな魅力」を感じます。このワイン、すごく好きです!ちなみに2007年とちょい熟成したヴィンテージですがこの2007年が現行最新ヴィンテージだそうです。
  ラクリムス・クリアンサはラクリムス・レックスと同じ標高530mの白亜紀の土壌の畑で採れたテンプラニーリョ85%とグラシアーノ15%のブレンド。熟成に用いる樽はフレンチオークとハンガリーのトカイ産の樽との併用で、珍しいトカイ産の樽を使うメリットは早くから樽の香味成分を抽出することができるところにあるとか。8種類のワインのメインを張るに相応しいモダンな造りの赤ワインです。
  最後のテンプラニーリョ・フリザンテ・ロサドが出てきた時はかなり酔いが回っていて味の記憶はやや曖昧です(汗)。製法としては、ロゼワインの三大製法(セニエ法・直接圧搾法・混醸法)のうちの直接圧搾法によるそうです。
 
<コース料理>
1.甘海老とピミエントス・デル・ピキージョのアイスクリーム
2.仙鳳趾産牡蠣のスモークとカリフロワークリーム
3.泉州水ナスとタラのブランダーダのオーブン焼き
4.アロス・ネグロ(イカスミのご飯)
5.淡路産真鯛のビスカイヤ風
6.バスク・マネッシュ豚骨付きリブロースの炭火焼き
7.マセドニア

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 (左)一皿目から参加者全員の度胆を抜いたピキージョ種赤ピーマンのアイスクリーム。オリーヴオイルのアイスクリームは先日から提供されていますがまさか赤ピーマンをアイスクリームにするとは!しかも赤ピーマンの自然な甘味がそのまんま活かされていてヴェルデホ・フリザンテともヴィーニャ・サンソ ヴェルデホとも好相性。
 (中央)ソーブレ・リアスに合わせてスモークした牡蠣。仙鳳趾産牡蠣が大好きだという友人も「生牡蠣ではよく食べるけどスモークしたのは初めて!美味しい!!ワインの樽香とスモーク香とがバッチリ合う」と大喜びいただきました。
 (右)フレンチのブランダードが語源のブランダーダはタラの身をほぐしてペースト状にしたもので、それを水茄子の器に詰めてオーブンで焼き上げています。タラとはいえしっかりとした味なのでミディアムなラクリムス・ファイブともバッチシ。

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 (左)アロス・ネグロ、いわゆるイカスミのリゾットに赤ワインのラクリムス・レックスを合わせるというのは意外中の意外でした。イカスミの生臭さなど全くなく、完璧なマリアージュ!
 (右)ビスカイヤ風は今年2月の郷土料理会でも登場したバスク地方ビスカイヤ県の郷土料理。赤ピーマン・玉ネギ・トマト・ニンニクで作るちょい甘目のソースのおかげで魚料理なのに赤ワインとマッチすることもその時に確認済みです。

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 (左)大量の肉塊を持って各テーブルを回る山本シェフ。この日のメイン食材であるバスク・マネッシュ豚の骨付きリブロースをお得意の炭火を使ってじっくり焼き上げてあります。山本シェフの料理の真骨頂はこの炭火焼きにあり、炭床も素材と炭火との距離を調整できるように工夫されたものです。
 (右)大部分が脂身のバスク豚を脂のクドさを感じさせずに食べられる最適の調理法が炭火焼きなのです。

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↑デザートのマセドニアに合わせて甘味のあるテンプラニーリョのフリザンテ・ロサドを。

  ハヴィエルさんの造るワインが美味しいことは昨年に既に分かっていましたし、会場がETXOLAなので素晴らしいメーカーズディナーになることはほぼ確定していましたが、それを上回る完璧さ!ワイン・料理・サーヴィス・通訳&解説・楽しもうという意欲に満ちた参加者、最高の場となるために必要な全ての要素がここに集結していたのですから。


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