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BRAVURA常連組でCaratello貸し切り宴会

  元「LA VINERIA BRAVURA(ラ・ヴィネリア・ブラヴーラ)」シェフの江村こーじシェフが昨年3月に郷里の和歌山で独立開業した「Caratello(カラテッロ)」にBRAVURAの常連組で突撃する計画に仲間入りしました。昨年5月の人生初和歌山となる初訪問時もBRAVURAの常連が半数を占めていましたが今回はまた別の顔触れです。
  Caratelloの近くにはピエモンテ州の「ブライダ」直営リストランテで15年間の在職中10年間シェフを務めた小林清一シェフの「i Bologna(イ・ボローニャ)」とシチリア州で修行した前川幸輔シェフの「Osteria Amuni(オステリア・アムニー)」とがあり、大阪の靭公園周辺のような極めてイタリア度の高いエリアと化しています。まぁ、地元の人達がそのへんのことをどこまで御存知なのかは分かりませんが。

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 (左)10人分のアンティパスト・ミストを盛り付けるこーじシェフ。30席程のキャパのお店を10人で貸し切るという優雅な宴会なのです。
 (右)アンティパスト・ミストは手前から時計回りに、パンツァネッラ&トンノ・デル・キァンティ&ソプレッサータ&サルシッチャ&リピエーノ・ポッロ&トリッパ・アッラ・フィオレンティーナの6種盛り。全てガチのトスカーナ伝統前菜です。パンツァネッラは余ったパーネ・トスカーノを有効活用するために生まれたパンサラダ。トンノ・デル・キァンティは豚肉を繊維質がほどけるまで煮詰めてツナ状にした内陸部ならではの料理で見た目は完全にツナですが食べるとしっかり豚の肉と脂の味がします。大好物のソプレッサータは感動モノの美味!リピエーノ・ポッロは紀州梅鶏腿肉でフリッタータとクタクタに煮込んだスピネッチ(=ホウレン草)を巻き込んだ食べ応えのある前菜。

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 (左)自家製パーネ2種。
 (右)ピチ・アル・ラグー・ディ・ランプレドット。トスカーナと言えばリガーリャ(=内臓料理)。フェガート(=鶏肝)とトリッパ(=牛第二胃袋)と並ぶ三大内臓がランプレドット(=牛第四胃袋)でそのランプレドットをラグーにしてあります。そしてパッパルデッレと並ぶトスカーナ名物手打ちパスタが手延べ麺のピチ。まさに手打ち細うどんのようなモチモチした食感です。

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 (左)熊野牛のアッロースト。見て下さい、この美しいロゼな断面を。肉質も焼き加減もペルフェット!
 (右)ドルチェ・ミスト。

  ワインセレクト係の大役を拝命し僭越ながら私がワインを選ぶことに。10人だと5人で1本を分けるとして同じ種類のワインが2本ずつないといけません。その点を考慮してのセレクトです↓

<ワインリスト>
モンテ・デッレ・ヴィーニェ「マルヴァジア・フリッツァンテ」×2
ラ・ラストラ「ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ2014」×2
ミケーレ・サッタ「ボルゲリ・ロザート2012」×2
バローネ・リカーゾリ「ベッティーノ・リカーゾリ キァンティ・クラシコ2013」×1
トゥア・リータ「ロッソ・ディ・ノートリ2014」×1
マルヴィラ「ビルベット」×1
フラテッリ・アレッサンドリア「バローロ2011」×1

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↑トスカーナのスプマンテは無かったのでエミリア・ロマーニャの名門メディチ・エルメーテが造るカジュアルなフリッツァンテでサルーテ(=乾杯)!
  トスカーナ唯一の白ワインのDOCGであるヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ、ボルゲリのサンジョヴェーゼとカベルネ・ソーヴィニヨンで造るロザートと続いて、赤ワインはあえて1本ずつ2本開けることに。ロッソ・ディ・ノートリの豊かな鉄分が熊野牛と合うことは容易に想像できるもののボルゲリ・ロザートの後にいきなりロッソ・ディ・ノートリだと少し急な感じがあるのでミディアム赤を挟むことに。ベッティーノ・リカーゾリはキァンティの生みの親であるベッティーノ・リカーゾリ男爵に捧げるワインとして造られたワインでこの2013年がファースト・ヴィンテージとなります。上手くまとまったエレガントなキァンティ・クラシコです。
  最後にピエモンテ州の甘口とバローロがあるのはこーじシェフのお薦めで。
 
  南海難波駅から特急電車でも1時間かかることを考えると一年に一回しか行けないのが実情ですがこれだけガチで骨太なトスカーナ郷土料理を食べられる地元民の方々が羨ましいです。

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初和歌山はこーじシェフの城「Caratello」に

  近畿2府4県の中で唯一行ったことが無いのが和歌山県。仕事で阪南市までは行くのですがさらにその先となるともはや異国に行くような感覚です。今回、人生初の和歌山県入りしました。目的地はもちろんあそこです。

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 (左)南海本線難波駅から特急サザンの自由席で和歌山市駅を目指します。特急サザンは指定席と自由席とがあり、始発駅の難波から乗れば自由席でもほぼ確実に座れるのでわざわざ座席指定料金を支払って指定席に座る必要が無いのです。
 (右)約1時間後に和歌山市駅に到着。外観は立派ですけど中身は田舎の駅ですね・・・

  和歌山市駅から徒歩で目的地まで移動。和歌山城が見えますが天守閣まで登っている時間は無いのでスルーして和歌山市役所の裏の方へとまわります。

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↑ここが目的地です。昨年10月まで大阪の本町「LA VINERIA BRAVURA(ラ・ヴィネリア・ブラヴ-ラ)」のシェフを務めていた江村こーじシェフが今年3月に独立開店した「Caratello(カラテッロ)」。こーじシェフは同時に御結婚もされていてダブルでおめでたい話です。

  今回は9人のグループでの突入でしたがその9人のメンバーが、京都・神戸・北大阪・東大阪・徳島(!)・和歌山と実に広範なエリアの住民で構成されています(笑)。
  日曜日の通常ランチメニューはパスタorパニーノのランチセット、ポルケッタランチの2種類のようですが我々はスペチャーレなおまかせコース料理を出してもらいました。

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 (左)左からポモドーロ&梅鶏フェガティーニのクロスティーニ2種盛り、自家製ソプレッサータ&モチェッタ&インサラータ・ディ・マイアーレ。クロスティーニ用のパンもパニーノ用のフォカッチャも奥様の手作りです。異彩を放っているのがモチェッタ。モチェッタとはヴァッレ・ダオスタ州特産の生ハムで元々はアイベックスという山羊の仲間の動物の肉で作られていましたが現代では鹿肉や鴨肉でも作るようでこーじシェフも地元和歌山で獲れた鹿肉でモチェッタを仕込んだとのこと。温度が上がるに連れてシナモンの香りが立ち上ってきて赤ワインが登場するまでちゃんと残しておきましたよ。
 (右)ナスのグリーリア&ファーヴェ&ペコリーノ&スピナッチ・アーリオ・オーリオ。BRAVURAでの懐かしの味の記憶が甦ります。

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 (左)プリモ・ピアットの一皿目はストロッツァプレーティをサルシッチャとピゼッリのサルサ・クレマで。ストロッツァプレーティは延ばした生地を1本1本手で巻いていくという製法の中部イタリアの郷土パスタで、これまでに何人かのシェフの自家製ストロッツァプレーティを食べたことがありますが一口大のサイズのは初めてです。この製法はこーじシェフが昨年に「彼女は以前に東京のリストランテでパスタ担当を務めていてパスタの腕は僕よりも上」と評していた奥様の製法に則ってこーじシェフが一口大サイズに千切っているとのこと。ちなみにサルサ・クレマはパンナ(生クリーム)ではなくラッテ(牛乳)ベースです。
 (右)プリモ・ピアットの二皿目はパッパルデッレ・アル・ラグー・ディ・アニエッロ。パッパルデッレの打ち方が以前と大分変わったなと感じたのですが気候や卵黄の量の加減とのこと。仔羊肉ラグーが濃厚で肉肉しいので以前のフワッと柔らかなパッパルデッレよりもやや厚みを増しているこのパッパルデッレの方がラグーに負けてなくて良いかもですね。

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 (左)セコンド・ピアットの一皿目はカッチュッコ。ズッパ・ディ・ペッシェのことをトスカーナ州沿岸部の湊町リヴォルノではカッチュッコと呼びます。海老の頭の味噌の美味いこと美味いこと。
 (右)セコンド・ピアットの二皿目は豚スペアリブの煮込み。

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 (左)ディジェスティーヴォに合わせて自家製カントゥッチ。
 (中央)お口直しにパイナップルが。
 (右)〆のカッフェ・エスプレッソ。

  ワインもこーじシェフにおまかせでボトルでどんどん開けてもらいました。

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 (左)エミリア・ロマーニャ州のガヴィオリ「スプマンテ ピノ・ビアンコ&シャルドネ」。4月から5月に呑むのにピッタシな桜の花のエチケッタのスプマンテです。
 (中央)トスカーナ州のカルロ・タンガネッリ「ピピリ2013」。ビオロジック農法栽培のトレッビアーノ&マルヴァジア&アンソニカというブレンドなのですがフランスのアルザスワインのニュアンスを感じられ、ブラインドだとアルザスワインだと答えてしまいそうです。
 (右)トスカーナ州のイル・パラジョーネ「チェルム キァンティ・コッリ・セネージ」。このワインを輸入している株式会社仙石の直営店「BIANCOROSSO(ビアンコ・ロッソ)」がすぐ近くということもあり同社にはこーじシェフもかなりお世話になっているのではないでしょうか。かなりフレッシュなタイプのキァンティですがプリモにもカッチュッコにも合わせやすいです。

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 (左)トスカーナ州のイ・セルヴァティチ「キァンティ・コッリ・アレティーナ・リセルヴァ2009」。豚スペアリブに合わせてもうちょっとしっかり目のキァンティの登場。BRAVURAでも御馴染みの株式会社ワインウェイヴが輸入しているワインです。
 (中央)トスカーナ州のマキャヴェッリ「ヴィン・サント・デル・キァンティ2000」。懇意の酒屋のセラーにずっと眠っていたのをまとめて仕入れたそうで市場には流通していないレア物です。
 (右)メンバーの一人Kさんがイタリアで買ってきたポリ「グラッパ バリリ・ディ・トルコラート2010」。3年以上樽熟させたヴィンテージグラッパでおそらく日本には輸入されていないはずです。

  久し振りに食べたこーじシェフの料理。最愛の伴侶を得て自分の城を構えたこともあってか以前に増して美味しくなっています。これからは和歌山まで通うべき理由がハッキリとあります。