Cuoco井口の冷製パスタ会とサブカル会
冷たい麺が大好きな日本人に夏場に人気なのが冷製パスタ。元々はイタリアで初めてミシュランの三ツ星を獲得した料理人であるグアルティエロ・マルケージ氏が日本に来た際にざる蕎麦を食べて思いついたキャビアの冷製カッペリーニが元祖であり、本場イタリアではパスタを冷やして食べる習慣が無いのでイタリアに冷製パスタは存在しないと言われていますが「パスタ・フレッダ」という冷たいパスタ料理はイタリアにもあるそうです。ただ、日本のようにお店の正式メニューとして市民権を得ているところまでは到っておらず、賄い料理とか非公式な扱いが多いようです。
さて、そんな冷製パスタを食べる会がとあるお店で催されました。これまでに冷製パスタを美味しいと思ったことが1回位しか無いので冷製パスタの会と聞いてもあまり乗り気になれないところなのですが「LA VINERIA BRAVURA(ラ・ヴィネリア・ブラヴーラ)」での開催である点に興味を惹かれました。BRAVURAでは一昨年の江村こーじシェフ(現「Caratello」オーナーシェフ)の退職以降は正式なシェフは置かずに井口タク店長が料理を担当しています。多くのファンのいるラザーニャとポルケッタはタク店長が考案したリチェッタ(=レシピ)であり、その料理の腕前は確かなモノなのですがタク店長は常々「僕はあくまでサーヴィスの人間なので」というスタンスを貫いていて御自身の料理を前面に出すことは控えているのです。そんなタク店長が御自身の料理を主役にした初めての会ですから参加しない訳にはいきますまいて。
アンティパストやセコンド・ピアットは無くて冷製パスタだけを3皿食べる、合わせるワインも白ワインだけでそれもソアーヴェばかりを3杯というマニアック過ぎる構成です(笑)。

(左)焼きナスとバジルとポモドリーニのビアンコ冷製パスタ。サルサにはガルム(=魚醤)で旨味を足し、さらにパスタの下にナスとオリーヴ・オイルとで作ったプレ(=ピューレ)を敷いて途中でそのプレとパスタとを混ぜ合わせて食べることで味の変化を楽しめるようになっています。
(右)ベルターニ「ソアーヴェ2015」。アマローネの名門生産者であるベルターニが造る超カジュアルラインのソアーヴェ。そうそうソアーヴェってこんな味だよねと思う、まさにソアーヴェのド真ん中にあると言えるフレッシュで酸味も穏やかな造り。このソアーヴェを基準にすると色々なタイプのソアーヴェの個性がよりくっきりと分かるはずです。

(左)桜海老とニンニクのクレマの冷製パスタ。アッローストした干し海老で取ったダシが入ったニンニクのクレマがすごくまろやかで桜海老の苦味を引き立たせています。
(右)モンテ・トンド「ソアーヴェ・クラシコ カゼッテ・フォスカリン2013」。「ソアーヴェの特級畑」と言っても過言ではない単一畑フォスカリーノのブドウで造るこのカゼッテ・フォスカリンはほのかな甘味と苦味とが調和していてその甘苦味が桜海老の苦味と見事なまでにアッビナメントしています。

(左)ホタテ貝柱とペペローニの冷製パスタ。一見サルサ・ポモドーロ(=トマトソース)のように見えますがペペローニ(=パプリカ)のサルサです。これはタク店長が以前に勤めていたお店のリチェッタが原型になっているそうで、そのお店ではペペローニとトマトを混ぜたサルサをパスタに絡めて冷製の鶏胸肉をトッピングし最後にトウモロコシ粒フリットを振り掛けるのだそうですが今回はペペローニ100%のサルサで鶏胸肉ではなく生ホタテ貝柱を使い、仕上げには海老粉入りの天かすを振り掛けてあります。天かすには驚きましたがサクッとした食感が心地良いアクセントになっていますよ。
(右)レ・バティステッレの「ソアーヴェ・クラシコ バティステッレ2013」。2年前にBRAVURAにもやって来たレ・バティステッレが単一畑バティステッレのガルガネガ100%で造る骨太なソアーヴェ・クラシコ。樽は一切使用していないのに色もやや濃い目で骨格がしっかりしているのはブドウ自体の熟度の高さによるのでしょうね。
タク店長、お見事です!冷たい麺類て味が単調なのでどうしても途中で食べ飽きてしまうことが多いのですが3種類とも全て創意工夫が施されていて途中で食べ飽きることなく食べ切ることができました。まさしくタク店長のcuoco(=料理人)としての実力がいかんなく発揮された会でしたね。
【7/22追記】
同じ週の初めに冷製パスタ会で行ったばかりのBRAVURAで今度は少人数でのサブカルチャー食事会が催されました。会の発起人はバッハと大河ドラマをこよなく愛するM子さん。かって私が開催していた「郷土料理会」のメンバーでもあったお方で今回は神奈川県から仕事で出張してきている元出版業界に在職していた男性と別の友人女性と私とで4人での食事会でした。話題は過去の大河ドラマやガンダム、そして大阪イタリアン界のサブカル博士であるタク店長も交えての80年代アイドルについて(爆)。

(左)先ずはアフェッタート・ミストから。
(右)BRAVURA二大看板料理であるポルケッタ。

↑4人で3本のボトルワインを空けました。
左からシチリア州のバローネ・ディ・ヴィッラグランデ「エトナ・ビアンコ・スーペリオーレ2014」。このワインは今年1月にタク店長とmicoソムリエールから誕生日プレゼントとしていただいたワインで一人で開けるには勿体無いのでいつか誰かと分かち合う日までお店のワインセラー内に保管してもらっていたのが今宵ついに開ける時が訪れました。バローネ・ディ・ヴィッラグランデのカンティーナがあるミロはカリカンテの名産地でありミロ産カリカンテを80%以上使用したエトナ・ビアンコはスーペリオーレを名乗ることができ、同社ではミロ産カリカンテ100%で醸造しています。エトナ・ロッソに比してエトナ・ビアンコはあまり知られていないようでM子さんにも他のお二人にも好評いただきました。
中央はアブルッツォ州のマシャレッリ「モンテプルチアーノ・ダブルッツォ2013」。私がマシャレッリのワインが好きなことを知っていてmicoソムリエールが薦めてくれました。ファースト・インパクトはモンテプルチアーノらしい果実味と甘味とが来ますが後味がキレイで飲み疲れしません。
右はラツィオ州のカザーレ・デル・ジリオ「シラー2014」。カザーレ・デル・ジリオはその本拠のあるアグロ・ポンティーノの地に適したブドウ品種を見つけるために土着品種と海外品種とを合わせて約60種類ものブドウ品種を植えてみて実験。その結果、現在ではカベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、テンプラニーリョ、プティ・マンサン、プティ・ヴェルド、シャルドネ、ヴィオニエ等の海外品種に特化して独自のワインの世界を確立しています。このワインもM子さんが以前に興味を示したことを覚えていたmicoソムリエールが薦めてくれたものです。
初対面同士でも話題に共通項があれば楽しい時間が広がっていきます。そして、お客の嗜好を把握してのワインセレクトはmicoソムリエールが普段から一人一人のお客の顔を真剣に見ていることと真面目にワインと向かい合っていることの賜物です。杓子定規でないこういうサーヴィスこそ心に響きます。
一週間の間に2度も楽しい時間を過ごさせてもらったタク店長とmicoソムリエールとに感謝です、grazie mille!
さて、そんな冷製パスタを食べる会がとあるお店で催されました。これまでに冷製パスタを美味しいと思ったことが1回位しか無いので冷製パスタの会と聞いてもあまり乗り気になれないところなのですが「LA VINERIA BRAVURA(ラ・ヴィネリア・ブラヴーラ)」での開催である点に興味を惹かれました。BRAVURAでは一昨年の江村こーじシェフ(現「Caratello」オーナーシェフ)の退職以降は正式なシェフは置かずに井口タク店長が料理を担当しています。多くのファンのいるラザーニャとポルケッタはタク店長が考案したリチェッタ(=レシピ)であり、その料理の腕前は確かなモノなのですがタク店長は常々「僕はあくまでサーヴィスの人間なので」というスタンスを貫いていて御自身の料理を前面に出すことは控えているのです。そんなタク店長が御自身の料理を主役にした初めての会ですから参加しない訳にはいきますまいて。
アンティパストやセコンド・ピアットは無くて冷製パスタだけを3皿食べる、合わせるワインも白ワインだけでそれもソアーヴェばかりを3杯というマニアック過ぎる構成です(笑)。


(左)焼きナスとバジルとポモドリーニのビアンコ冷製パスタ。サルサにはガルム(=魚醤)で旨味を足し、さらにパスタの下にナスとオリーヴ・オイルとで作ったプレ(=ピューレ)を敷いて途中でそのプレとパスタとを混ぜ合わせて食べることで味の変化を楽しめるようになっています。
(右)ベルターニ「ソアーヴェ2015」。アマローネの名門生産者であるベルターニが造る超カジュアルラインのソアーヴェ。そうそうソアーヴェってこんな味だよねと思う、まさにソアーヴェのド真ん中にあると言えるフレッシュで酸味も穏やかな造り。このソアーヴェを基準にすると色々なタイプのソアーヴェの個性がよりくっきりと分かるはずです。


(左)桜海老とニンニクのクレマの冷製パスタ。アッローストした干し海老で取ったダシが入ったニンニクのクレマがすごくまろやかで桜海老の苦味を引き立たせています。
(右)モンテ・トンド「ソアーヴェ・クラシコ カゼッテ・フォスカリン2013」。「ソアーヴェの特級畑」と言っても過言ではない単一畑フォスカリーノのブドウで造るこのカゼッテ・フォスカリンはほのかな甘味と苦味とが調和していてその甘苦味が桜海老の苦味と見事なまでにアッビナメントしています。


(左)ホタテ貝柱とペペローニの冷製パスタ。一見サルサ・ポモドーロ(=トマトソース)のように見えますがペペローニ(=パプリカ)のサルサです。これはタク店長が以前に勤めていたお店のリチェッタが原型になっているそうで、そのお店ではペペローニとトマトを混ぜたサルサをパスタに絡めて冷製の鶏胸肉をトッピングし最後にトウモロコシ粒フリットを振り掛けるのだそうですが今回はペペローニ100%のサルサで鶏胸肉ではなく生ホタテ貝柱を使い、仕上げには海老粉入りの天かすを振り掛けてあります。天かすには驚きましたがサクッとした食感が心地良いアクセントになっていますよ。
(右)レ・バティステッレの「ソアーヴェ・クラシコ バティステッレ2013」。2年前にBRAVURAにもやって来たレ・バティステッレが単一畑バティステッレのガルガネガ100%で造る骨太なソアーヴェ・クラシコ。樽は一切使用していないのに色もやや濃い目で骨格がしっかりしているのはブドウ自体の熟度の高さによるのでしょうね。
タク店長、お見事です!冷たい麺類て味が単調なのでどうしても途中で食べ飽きてしまうことが多いのですが3種類とも全て創意工夫が施されていて途中で食べ飽きることなく食べ切ることができました。まさしくタク店長のcuoco(=料理人)としての実力がいかんなく発揮された会でしたね。
【7/22追記】
同じ週の初めに冷製パスタ会で行ったばかりのBRAVURAで今度は少人数でのサブカルチャー食事会が催されました。会の発起人はバッハと大河ドラマをこよなく愛するM子さん。かって私が開催していた「郷土料理会」のメンバーでもあったお方で今回は神奈川県から仕事で出張してきている元出版業界に在職していた男性と別の友人女性と私とで4人での食事会でした。話題は過去の大河ドラマやガンダム、そして大阪イタリアン界のサブカル博士であるタク店長も交えての80年代アイドルについて(爆)。


(左)先ずはアフェッタート・ミストから。
(右)BRAVURA二大看板料理であるポルケッタ。

↑4人で3本のボトルワインを空けました。
左からシチリア州のバローネ・ディ・ヴィッラグランデ「エトナ・ビアンコ・スーペリオーレ2014」。このワインは今年1月にタク店長とmicoソムリエールから誕生日プレゼントとしていただいたワインで一人で開けるには勿体無いのでいつか誰かと分かち合う日までお店のワインセラー内に保管してもらっていたのが今宵ついに開ける時が訪れました。バローネ・ディ・ヴィッラグランデのカンティーナがあるミロはカリカンテの名産地でありミロ産カリカンテを80%以上使用したエトナ・ビアンコはスーペリオーレを名乗ることができ、同社ではミロ産カリカンテ100%で醸造しています。エトナ・ロッソに比してエトナ・ビアンコはあまり知られていないようでM子さんにも他のお二人にも好評いただきました。
中央はアブルッツォ州のマシャレッリ「モンテプルチアーノ・ダブルッツォ2013」。私がマシャレッリのワインが好きなことを知っていてmicoソムリエールが薦めてくれました。ファースト・インパクトはモンテプルチアーノらしい果実味と甘味とが来ますが後味がキレイで飲み疲れしません。
右はラツィオ州のカザーレ・デル・ジリオ「シラー2014」。カザーレ・デル・ジリオはその本拠のあるアグロ・ポンティーノの地に適したブドウ品種を見つけるために土着品種と海外品種とを合わせて約60種類ものブドウ品種を植えてみて実験。その結果、現在ではカベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、テンプラニーリョ、プティ・マンサン、プティ・ヴェルド、シャルドネ、ヴィオニエ等の海外品種に特化して独自のワインの世界を確立しています。このワインもM子さんが以前に興味を示したことを覚えていたmicoソムリエールが薦めてくれたものです。
初対面同士でも話題に共通項があれば楽しい時間が広がっていきます。そして、お客の嗜好を把握してのワインセレクトはmicoソムリエールが普段から一人一人のお客の顔を真剣に見ていることと真面目にワインと向かい合っていることの賜物です。杓子定規でないこういうサーヴィスこそ心に響きます。
一週間の間に2度も楽しい時間を過ごさせてもらったタク店長とmicoソムリエールとに感謝です、grazie mille!
スポンサーサイト
クミン高岡弁当でBRAVURA5周年パーティー
この4/25にオープン5周年を迎えていた「LA VINERIA BRAVURA(ラ・ヴィネリア・ブラヴーラ)」でしたが同じ週に生産者イベントが二つも重なったために1ヵ月遅れの周年パーティーが開催されました。こーじシェフ(現「Caratello」オーナーシェフ)の退職以後ずっと料理を担当し続けているタク店長は自身のことをあくまで料理人ではなくサーヴィスマンと位置付けているため今回も自身が料理の腕前を振るうのではなくコラボの形となりました。ただし、いつものように他店シェフに料理を作りに来てもらうコラボではなく弁当の発注という過去に例の無いコラボです。その発注先とは以前に週一ソムリエとして毎週木曜に出勤していたVite Italia高岡ソムリエが地元の近江八幡市で活動している「キッチンクミン高岡」なのです。

↑近江八幡市から車を飛ばして弁当の納品に到着したばかりの高岡ソムリエ。

↑これが今回の5周年パーティー用にワインに合うよう作られたイタリア弁当です。ちなみに調理は高岡ソムリエの昔からの戦友である元「Principessa」岩原シェフ。
内容は以下の通り。
リーゾ・アル・ポモドーロ(トマト風味ご飯)
リーゾ・アル・プロフュメ・ディ・フィノッキオ(ウイキョウ風味ご飯)
ポッロ・フリット・アッラ・オリガーノ(若鶏の唐揚げオレガノ風味)
ボッリート・ディ・マイアーレ・コン・モスタルダ(蒸し豚マスタード風味)
クロスティーニ・ディ・フェガティーニ(鶏レバーペーストのクロスティーニ)
カポナータ・デッレ・ヴェルドゥーラ・‘滋賀’(滋賀野菜のカポナータ)
インサラータ・ディ・パターテ(ポテトサラダ)
インサラータ・ディ・ファジョーリ・エ・ファジョリーニ・ディ・‘近江八幡’(近江八幡の豆豆サラダ)
タリオリーニ・ロッソ・ディ・パターテ‘コンニャク’・アッラ・アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ(糸赤コンニャクのペペロンチーノ風)
パッと見た瞬間の印象は普通の弁当ですが調理法は全てイタリア料理なのです。まさかのご飯2種盛りには一同驚いていた様子でした(メチャお腹膨れますからね)。普段の納品先が地元の小学校とかなので素材の味を活かした薄味を心掛けているそうでこの弁当もワインのアテとしては全体的に薄味ですがポッロ・フリット(若鶏の唐揚げ)はかなりの美味でしたよ。

↑キャッシュ・オンのワインは二人のソムリエールによるサーヴ。いつものmicoソムリエールと美人助っ人あきソムリエールです。



(左)エミリア・ロマーニャ州のメディチ・エルメーテ「ランブルスコ・レッジアーノ・セッコ コンチェルト2010マグナム」。4/26にもやって来ていたおそらくBRAVURA最多訪問生産者であるメディチ・エルメーテの最上級ランブルスコのバック・ヴィンテージでしかもマグナムボトルという珍品。
(中央)ピエモンテ州のライオロ・グイド・レジニン「ラ・コティディアーナ・ビアンコNVマグナム」。エチケッタに目を奪われますが品種を聞くと何とコルテーゼ100%とのこと。確かに呑んでみるとコルテーゼの味がしっかりします。
(右)同じくライオロ・グイド・レジニン「ラ・コティディアーナ・ロッソNV」。ビアンコがなかなかの出来だったのでロッソの方も行ってみるとこちらはバルベーラ100%でこれまたなかなかの出来。流石は株式会社相模屋本店の取扱いワインですね。
本当はどこよりもマニアックな要素の塊なのに大阪にイタリア郷土料理店が増えている状況の中でホッと一息付ける安息の場所たらんとする変わらないスタンスはこの5年間で数多くのファンを生み出しています。

↑近江八幡市から車を飛ばして弁当の納品に到着したばかりの高岡ソムリエ。


↑これが今回の5周年パーティー用にワインに合うよう作られたイタリア弁当です。ちなみに調理は高岡ソムリエの昔からの戦友である元「Principessa」岩原シェフ。
内容は以下の通り。
リーゾ・アル・ポモドーロ(トマト風味ご飯)
リーゾ・アル・プロフュメ・ディ・フィノッキオ(ウイキョウ風味ご飯)
ポッロ・フリット・アッラ・オリガーノ(若鶏の唐揚げオレガノ風味)
ボッリート・ディ・マイアーレ・コン・モスタルダ(蒸し豚マスタード風味)
クロスティーニ・ディ・フェガティーニ(鶏レバーペーストのクロスティーニ)
カポナータ・デッレ・ヴェルドゥーラ・‘滋賀’(滋賀野菜のカポナータ)
インサラータ・ディ・パターテ(ポテトサラダ)
インサラータ・ディ・ファジョーリ・エ・ファジョリーニ・ディ・‘近江八幡’(近江八幡の豆豆サラダ)
タリオリーニ・ロッソ・ディ・パターテ‘コンニャク’・アッラ・アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ(糸赤コンニャクのペペロンチーノ風)
パッと見た瞬間の印象は普通の弁当ですが調理法は全てイタリア料理なのです。まさかのご飯2種盛りには一同驚いていた様子でした(メチャお腹膨れますからね)。普段の納品先が地元の小学校とかなので素材の味を活かした薄味を心掛けているそうでこの弁当もワインのアテとしては全体的に薄味ですがポッロ・フリット(若鶏の唐揚げ)はかなりの美味でしたよ。


↑キャッシュ・オンのワインは二人のソムリエールによるサーヴ。いつものmicoソムリエールと美人助っ人あきソムリエールです。



(左)エミリア・ロマーニャ州のメディチ・エルメーテ「ランブルスコ・レッジアーノ・セッコ コンチェルト2010マグナム」。4/26にもやって来ていたおそらくBRAVURA最多訪問生産者であるメディチ・エルメーテの最上級ランブルスコのバック・ヴィンテージでしかもマグナムボトルという珍品。
(中央)ピエモンテ州のライオロ・グイド・レジニン「ラ・コティディアーナ・ビアンコNVマグナム」。エチケッタに目を奪われますが品種を聞くと何とコルテーゼ100%とのこと。確かに呑んでみるとコルテーゼの味がしっかりします。
(右)同じくライオロ・グイド・レジニン「ラ・コティディアーナ・ロッソNV」。ビアンコがなかなかの出来だったのでロッソの方も行ってみるとこちらはバルベーラ100%でこれまたなかなかの出来。流石は株式会社相模屋本店の取扱いワインですね。
本当はどこよりもマニアックな要素の塊なのに大阪にイタリア郷土料理店が増えている状況の中でホッと一息付ける安息の場所たらんとする変わらないスタンスはこの5年間で数多くのファンを生み出しています。
ワインちゃんから独立、その名もCoわいん
昼はハンバーグランチ、夜はワインに合うおまかせコース一本で勝負するお店「ワインちゃん」。かって長野県小布施町の小布施ワイナリーが造る幻の協会酵母の日本酒呑み比べ会で行って以来御無沙汰ですがそこの山口オーナーシェフの息子さんとはちょっとした縁があって仲良くさせてもらっているのです。
まだ二十代半ばと若い息子さんですが昨年から独立を考えていて、今回ついにその夢を果たしました。店名こそ「Coわいん」でワインちゃんの2号店という形を取っていますが名物のハンバーグ以外の料理とワインセレクトは全て息子さんが担当するので実質的には独立ということになります。

(左)先ずは山口店長、独立おめでとうございます!
(右)以前はクリーニング店だった店舗を飲食店用に改修したので非常にコンパクトな店内。店内に入るとすぐに厨房で、厨房の横の幅45cmの通路を通って奥に行くとカウンター3席と6人掛けテーブル席があります。

(左)2軒目でお腹も膨れていたので鹿肉のパテ。「肉料理を頑張っています。ハンバーグがあるので牛肉料理はやっていませんが鴨肉やミンチを詰めた豚足とか肉料理だけでも7種類あります」と意気込みを語ってくれました。
(右)フランスのブルゴーニュ地方ボージョレー地区のドメーヌ・ジョルジュ・デコンブ「モルゴン2011」。山口店長のワインに関する知識は非常に豊富で今回も美味しいガメイを呑ませてくれました。
ちゃんとした食事は次回に持ち越しとなりましたが若い才能が現場で発揮されることは喜ばしいことです。応援してま~す!
<後日追記>
山口店長の料理をちゃんといただきに行って来ました。EL PONIENTEグループ出身なのでスペイン料理色の強いアラカルト営業が基本ですがおまかせコースで出してもらいました。

(左)カンパチのマリネにイチゴと八朔マーマレードとアーモンド入りサルサ・ヴェルデを添えて。
(右)玉ねぎのキッシュ&ポテトサラダ&イワシのリエット&ローストビーフのサラダ。

(左)奈良産天然キノコの焼き立てトルティージャ。
(右)アジのソテーに無農薬栽培スナップエンドウとクスクスサラダ添え。

↑鴨胸肉のローストに無農薬栽培玉ねぎと鴨肉ジュのクリームソースを添えて。
グラスワインは何と500円~あります。ワインの知識も豊富な山口店長なだけにただ安いワインを選んでくるのではなく意図とセンスとを感じるセレクトでした。

(左)ポルトガルのキンタ・ダ・リッシャ「テラス・ド・ミーニョ ヴィーニョ・ヴェルデ2014」。微発泡の白ワインの美味しい季節ですがチャコリは高いのでそこで目を着けたのが爽快感のある飲み口のポルトガルのヴィーニョ・ヴェルデという訳ですな。
(右)フランスのローヌ地方のエステザルグ協同組合「プレン・シュッド2014」。安定のエステザルグなだけにこの白ワインも安定しています。

(左)ポルトガルのキンタ・ダ・アロルナ「ヴァレ・デ・ナバイシュ2011」。大手のワイナリーなだけにお手軽価格でも高品質のワインを造っていますね、これはかなりの掘り出しモノですよ。
(右)フランスのアルザス地方のマルセル・ダイス「アルザス・ルージュ2012」。さすがにアルザスの奇巨人マルセル・ダイスのワインとなると他のワインよりも品質的にも価格的にも数段抜けています。
まだ二十代半ばと若い息子さんですが昨年から独立を考えていて、今回ついにその夢を果たしました。店名こそ「Coわいん」でワインちゃんの2号店という形を取っていますが名物のハンバーグ以外の料理とワインセレクトは全て息子さんが担当するので実質的には独立ということになります。


(左)先ずは山口店長、独立おめでとうございます!
(右)以前はクリーニング店だった店舗を飲食店用に改修したので非常にコンパクトな店内。店内に入るとすぐに厨房で、厨房の横の幅45cmの通路を通って奥に行くとカウンター3席と6人掛けテーブル席があります。


(左)2軒目でお腹も膨れていたので鹿肉のパテ。「肉料理を頑張っています。ハンバーグがあるので牛肉料理はやっていませんが鴨肉やミンチを詰めた豚足とか肉料理だけでも7種類あります」と意気込みを語ってくれました。
(右)フランスのブルゴーニュ地方ボージョレー地区のドメーヌ・ジョルジュ・デコンブ「モルゴン2011」。山口店長のワインに関する知識は非常に豊富で今回も美味しいガメイを呑ませてくれました。
ちゃんとした食事は次回に持ち越しとなりましたが若い才能が現場で発揮されることは喜ばしいことです。応援してま~す!
<後日追記>
山口店長の料理をちゃんといただきに行って来ました。EL PONIENTEグループ出身なのでスペイン料理色の強いアラカルト営業が基本ですがおまかせコースで出してもらいました。


(左)カンパチのマリネにイチゴと八朔マーマレードとアーモンド入りサルサ・ヴェルデを添えて。
(右)玉ねぎのキッシュ&ポテトサラダ&イワシのリエット&ローストビーフのサラダ。


(左)奈良産天然キノコの焼き立てトルティージャ。
(右)アジのソテーに無農薬栽培スナップエンドウとクスクスサラダ添え。

↑鴨胸肉のローストに無農薬栽培玉ねぎと鴨肉ジュのクリームソースを添えて。
グラスワインは何と500円~あります。ワインの知識も豊富な山口店長なだけにただ安いワインを選んでくるのではなく意図とセンスとを感じるセレクトでした。


(左)ポルトガルのキンタ・ダ・リッシャ「テラス・ド・ミーニョ ヴィーニョ・ヴェルデ2014」。微発泡の白ワインの美味しい季節ですがチャコリは高いのでそこで目を着けたのが爽快感のある飲み口のポルトガルのヴィーニョ・ヴェルデという訳ですな。
(右)フランスのローヌ地方のエステザルグ協同組合「プレン・シュッド2014」。安定のエステザルグなだけにこの白ワインも安定しています。


(左)ポルトガルのキンタ・ダ・アロルナ「ヴァレ・デ・ナバイシュ2011」。大手のワイナリーなだけにお手軽価格でも高品質のワインを造っていますね、これはかなりの掘り出しモノですよ。
(右)フランスのアルザス地方のマルセル・ダイス「アルザス・ルージュ2012」。さすがにアルザスの奇巨人マルセル・ダイスのワインとなると他のワインよりも品質的にも価格的にも数段抜けています。
BRAVURA×ロンバルディア州チョウザメ料理のコラボチルコロ
昨年に引き続き今年も毎月異なるゲストシェフを招聘してのコラボイベントとなっているチルコロ@LA VINERIA BRAVURA(ラ・ヴィネリア・ブラヴーラ)。基本的に顔見知りのシェフがゲストの時にしか参加していないのですが今回初めてこれまで全く接点の無かったシェフの会に参加してきました。その理由は今回のテーマがロンバルディア州のチョウザメ料理と聞いたから。
以前に某所でロンバルディア産キャビアを食べたことがあります。その時は「ふ~ん」としか思わなかったのですがよくよく考えてみると海の無い内陸地のロンバルディア州でどうしてチョウザメが獲れるのか?と疑問が湧いてきます。実はロンバルディア州ブレーシャ近郊のカルヴィザーノという地では人工河川を用いてストリオーネ(=チョウザメ)の養殖を行っているのです。そしてカルヴィザーノにある「Ristorante Al Gambero(リストランテ アル・ガンベロ)」で修行していてチョウザメ料理も作ったことのある小寺シェフが今回のゲストシェフなのです。
小寺シェフは上述のAl Gamberoを含めてロンバルディア州とフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州とトスカーナ州とピエモンテ州とシチリア州とで6軒のお店で合計3年半修行した後に帰国して2013年9月に大阪市西区新町にて「trattoria pino(トラットリア・ピノ)」を独立オープン。渡伊前の小寺シェフが働いていた店のOBであるタク店長からはオープン当時よりお薦めいただいていたのですがなかなか訪れる機会に恵まれず今回晴れてその料理をいただくこととなりました。
コース料理はチョウザメ料理含めて全てロンバルディア郷土料理で構成されています。ロンバルディア郷土料理を食べるのはサンドロ・ファイのメーカーズ・ディナー以来ですかね。ちなみに今回のコース料理の裏テーマは「茶色い料理」で見た目に華やかな料理は一つも出てきません(笑)。
<コース料理>
1.アンティパスト・ミスト
2.リゾット・アッラ・ピロータ
3.ストリオーネ・イン・パデッラ サルサ・ヴィーノ・ロッソ
4.トルタ・ズブリゾローナ・コン・ザバイオーネ

(左)料理の説明をする小寺シェフ。意外なまでに口数の少ない人です。
(右)アンティパスト・ミストはズッパ・ルスティカ&シャット&モンデギーリの3種盛り。ズッパ・ルスティカはオルツォ(=麦)とレンティッキエ(=レンズ豆)とトマトのスープ。シャットはグラーノ・サラチェーノ(=蕎麦粉)の栽培が盛んなヴァルテッリーナ地方の郷土料理で一言で言うと蕎麦粉のチーズ入り揚げ団子です。蕎麦粉を炭酸水と少量のグラッパで練るのですが今回はグラッパ抜きで炭酸水のみで練っているとのこと。その生地でヴァルテッリーナ・カゼーラというチーズを包んで揚げるのが本来ですが入手の難しいチーズなのでドイツのステッペンというチーズで代用。付け合わせはカルピオーネのような野菜の甘酢漬け。モンデギーリはボッリート・ミストの残った肉を再利用した揚げ肉団子。

(左)リゾット・アッラ・ピロータを盛り付ける小寺シェフと仕上げにロンバルディア名産のグラナ・パダーノを振りかけるタク店長。
(右)ピロータpilotaというイタリア語は本来は飛行機のパイロットを意味する単語ですが米の名産地であるマントヴァにおいてアッラ・ピロータとなると「脱穀農夫風」とか「精米業者風」という意味になります。ピーラpilaと呼ばれる米のもみ殻を取る臼を使って脱穀する脱穀農夫又は精米業者が脱穀したての米を使って作業を中断することなくササッと作って食べられる料理として生まれたそうです。なので通常のリゾットとは全く製法が異なります。生米を炒めてそこにブロードを注いでかき混ぜながら仕上げていくのではなく、水と塩だけで米を炊き上げてから少し蒸らし、そこに別鍋で炒めてほぐした自家製サルシッチャを混ぜてシナモンとナツメグを加え、仕上げにグラナ・パダーノを振りかけます。
リゾットとサルシッチャとを別々に調理して最後に一体化させるので味としては完全に一つにまとまりきっておらずリゾット自体の味とサルシッチャ自体の味とに分離させやすいのです。そこがワインとのアッビナメントのポイントになっていてワインの説明と併せて後述します。タク店長から「お好きな地味系の味ですよ」と言われた通りに私の好きな地味滋味系の素朴で飽きのこない味です。

(左)さすがにロンバルディア産のチョウザメは手に入らないので愛媛県産のチョウザメを仕入れ、切り身をパンチェッタで巻いてからパデッラ(=フライパン)で焼き上げます。そこにアグロドルチェな甘酸っぱい赤ワインソースを合わせ、肉料理に近いアプローチでの提供。チョウザメ自体は非常に淡泊な味ですがパンチェッタから出る豚の脂の甘味とコク、赤ワインソースの甘味と酸味とが合わさってなかなかにボリュームのある仕上がりです。
(左)トルタ・ズブリゾローナはマントヴァの銘菓で小麦粉&トウモロコシ粉&砂糖&卵黄&アーモンド粉を混ぜた生地をオーブンで焼き上げたクッキー。ザバイオーネを添えて食べるのが定番でシチリア島のモスカート・ディ・ノートのパッシートを効かせてあります。
<ワインリスト>
1.ラ・トラヴァリーナ「オルトレポ・パヴェーゼ リースリング・フリッツァンテ レ・ゾッレ2013」
2.ラ・トラヴァリーナ「オルトレポ・パヴェーゼ ピノ・ネロ・フリッツァンテ レ・ゾッレ2012」
3.ボッリーニ「シャルドネ2014」
4.ネラ「ヴァルテッリーナ・スーペリオーレ・グルメッロ ティルソ2011」
5.ポッジョ・トンド「ヴェルメンティーノ2013」
6.ポッジョ・アルジェンティエラ「モレッリーノ・ディ・スカンサーノ ベッラマルシリア2014」



(左)ラ・トラヴァリーナはロンバルディア州オルトレポ・パヴェーゼで50年近い歴史のあるカンティーナ。リースリングと付くもののリースリングとは全く別品種であるリースリング・イタリコ100%の微発泡性ワイン。酸味はあるもののかなりスッキリとした造りで前菜3種の中ではズッパ・ルスティカとシャットの付け合わせの野菜甘酢漬けと合わせるべきタイプ。
(中央)同じくラ・トラヴァリーナがピノ・ネロ100%で造る微発泡性ワイン。リースリング・イタリコのような酸味は無い分少しふくよかでシャット本体とモンデギーリと合わせるタイプ。
(右)トレンティーノ・アルト・アディジェ州のシャルドネでエチケッタにバッリカート40との表記がある通りステンレスタンクで熟成させたワイン60%とバリックで熟成させたワイン40%をブレンドしています。酸味はほとんど無く南国系フルーツのニュアンスも少ないややもすると凡庸な感じで終わってしまいかねないですがリゾット・アッラ・ピロータのサルシッチャの味を分離させたリゾット単独での味とは非常によく合います。



(左)ネラはヴァルテッリーナの地で1940年からワイン造りを行っているカンティーナで、このティルソはヴァルテッリーナ・スーペリオーレの区画の一つグルメッロの契約農家から買い付けたキアヴェンナスカ100%使用の赤ワイン。キアヴェンナスカの特徴としてネッビオーロ程にはタンニンは無くて柔らかいワインになり、このティルソも端正でキレイな仕上がりです。リゾット・アッラ・ピロータのサルシッチャとの相性が良し。
(中央)世界的ワイン醸造コンサルタントのアルベルト・アントニーニ氏がトスカーナ州の実家を継いで自分の造りたいワインを造っているのがポッジョ・トンド。赤ワインに力を入れているカンティーナなので上代2000円ちょいのこのヴェンルメンティーノが白ワインのトップ・キュヴェとなります。アロマティックで赤ワインソースが無いチョウザメ単独でならよく合うでしょうね。
(右)トスカーナ州マレンマのポッジョ・アルジェンティエラは昨年12月のタルディーヴォの会でも登場した、スヴェレートのトゥア・リータが買い取ったカンティーナ。マレンマンテはトゥア・リータらしい優等生的な部分が出ているワインでしたがこのベッラマルシリアはトゥア・リータが誇るジュスト・ディ・ノートリのようなガチガチの硬さです。モレッリーノ・ディ・スカンサーノはカンティーナによってかなり差のあるワインですがmicoソムリエールが早い目に抜栓してデキャンタまでしたのにまだこんなに硬いとは驚きです。豊富なタンニンと鉄分とがチョウザメの赤ワインソースとよく合います。
大阪にはイタリア郷土料理を再現できる料理人が本当に増えましたね。小寺シェフのスペシャリテであるラヴィオローネも食べにいかないと。
以前に某所でロンバルディア産キャビアを食べたことがあります。その時は「ふ~ん」としか思わなかったのですがよくよく考えてみると海の無い内陸地のロンバルディア州でどうしてチョウザメが獲れるのか?と疑問が湧いてきます。実はロンバルディア州ブレーシャ近郊のカルヴィザーノという地では人工河川を用いてストリオーネ(=チョウザメ)の養殖を行っているのです。そしてカルヴィザーノにある「Ristorante Al Gambero(リストランテ アル・ガンベロ)」で修行していてチョウザメ料理も作ったことのある小寺シェフが今回のゲストシェフなのです。
小寺シェフは上述のAl Gamberoを含めてロンバルディア州とフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州とトスカーナ州とピエモンテ州とシチリア州とで6軒のお店で合計3年半修行した後に帰国して2013年9月に大阪市西区新町にて「trattoria pino(トラットリア・ピノ)」を独立オープン。渡伊前の小寺シェフが働いていた店のOBであるタク店長からはオープン当時よりお薦めいただいていたのですがなかなか訪れる機会に恵まれず今回晴れてその料理をいただくこととなりました。
コース料理はチョウザメ料理含めて全てロンバルディア郷土料理で構成されています。ロンバルディア郷土料理を食べるのはサンドロ・ファイのメーカーズ・ディナー以来ですかね。ちなみに今回のコース料理の裏テーマは「茶色い料理」で見た目に華やかな料理は一つも出てきません(笑)。
<コース料理>
1.アンティパスト・ミスト
2.リゾット・アッラ・ピロータ
3.ストリオーネ・イン・パデッラ サルサ・ヴィーノ・ロッソ
4.トルタ・ズブリゾローナ・コン・ザバイオーネ


(左)料理の説明をする小寺シェフ。意外なまでに口数の少ない人です。
(右)アンティパスト・ミストはズッパ・ルスティカ&シャット&モンデギーリの3種盛り。ズッパ・ルスティカはオルツォ(=麦)とレンティッキエ(=レンズ豆)とトマトのスープ。シャットはグラーノ・サラチェーノ(=蕎麦粉)の栽培が盛んなヴァルテッリーナ地方の郷土料理で一言で言うと蕎麦粉のチーズ入り揚げ団子です。蕎麦粉を炭酸水と少量のグラッパで練るのですが今回はグラッパ抜きで炭酸水のみで練っているとのこと。その生地でヴァルテッリーナ・カゼーラというチーズを包んで揚げるのが本来ですが入手の難しいチーズなのでドイツのステッペンというチーズで代用。付け合わせはカルピオーネのような野菜の甘酢漬け。モンデギーリはボッリート・ミストの残った肉を再利用した揚げ肉団子。


(左)リゾット・アッラ・ピロータを盛り付ける小寺シェフと仕上げにロンバルディア名産のグラナ・パダーノを振りかけるタク店長。
(右)ピロータpilotaというイタリア語は本来は飛行機のパイロットを意味する単語ですが米の名産地であるマントヴァにおいてアッラ・ピロータとなると「脱穀農夫風」とか「精米業者風」という意味になります。ピーラpilaと呼ばれる米のもみ殻を取る臼を使って脱穀する脱穀農夫又は精米業者が脱穀したての米を使って作業を中断することなくササッと作って食べられる料理として生まれたそうです。なので通常のリゾットとは全く製法が異なります。生米を炒めてそこにブロードを注いでかき混ぜながら仕上げていくのではなく、水と塩だけで米を炊き上げてから少し蒸らし、そこに別鍋で炒めてほぐした自家製サルシッチャを混ぜてシナモンとナツメグを加え、仕上げにグラナ・パダーノを振りかけます。
リゾットとサルシッチャとを別々に調理して最後に一体化させるので味としては完全に一つにまとまりきっておらずリゾット自体の味とサルシッチャ自体の味とに分離させやすいのです。そこがワインとのアッビナメントのポイントになっていてワインの説明と併せて後述します。タク店長から「お好きな地味系の味ですよ」と言われた通りに私の好きな地味滋味系の素朴で飽きのこない味です。


(左)さすがにロンバルディア産のチョウザメは手に入らないので愛媛県産のチョウザメを仕入れ、切り身をパンチェッタで巻いてからパデッラ(=フライパン)で焼き上げます。そこにアグロドルチェな甘酸っぱい赤ワインソースを合わせ、肉料理に近いアプローチでの提供。チョウザメ自体は非常に淡泊な味ですがパンチェッタから出る豚の脂の甘味とコク、赤ワインソースの甘味と酸味とが合わさってなかなかにボリュームのある仕上がりです。
(左)トルタ・ズブリゾローナはマントヴァの銘菓で小麦粉&トウモロコシ粉&砂糖&卵黄&アーモンド粉を混ぜた生地をオーブンで焼き上げたクッキー。ザバイオーネを添えて食べるのが定番でシチリア島のモスカート・ディ・ノートのパッシートを効かせてあります。
<ワインリスト>
1.ラ・トラヴァリーナ「オルトレポ・パヴェーゼ リースリング・フリッツァンテ レ・ゾッレ2013」
2.ラ・トラヴァリーナ「オルトレポ・パヴェーゼ ピノ・ネロ・フリッツァンテ レ・ゾッレ2012」
3.ボッリーニ「シャルドネ2014」
4.ネラ「ヴァルテッリーナ・スーペリオーレ・グルメッロ ティルソ2011」
5.ポッジョ・トンド「ヴェルメンティーノ2013」
6.ポッジョ・アルジェンティエラ「モレッリーノ・ディ・スカンサーノ ベッラマルシリア2014」



(左)ラ・トラヴァリーナはロンバルディア州オルトレポ・パヴェーゼで50年近い歴史のあるカンティーナ。リースリングと付くもののリースリングとは全く別品種であるリースリング・イタリコ100%の微発泡性ワイン。酸味はあるもののかなりスッキリとした造りで前菜3種の中ではズッパ・ルスティカとシャットの付け合わせの野菜甘酢漬けと合わせるべきタイプ。
(中央)同じくラ・トラヴァリーナがピノ・ネロ100%で造る微発泡性ワイン。リースリング・イタリコのような酸味は無い分少しふくよかでシャット本体とモンデギーリと合わせるタイプ。
(右)トレンティーノ・アルト・アディジェ州のシャルドネでエチケッタにバッリカート40との表記がある通りステンレスタンクで熟成させたワイン60%とバリックで熟成させたワイン40%をブレンドしています。酸味はほとんど無く南国系フルーツのニュアンスも少ないややもすると凡庸な感じで終わってしまいかねないですがリゾット・アッラ・ピロータのサルシッチャの味を分離させたリゾット単独での味とは非常によく合います。



(左)ネラはヴァルテッリーナの地で1940年からワイン造りを行っているカンティーナで、このティルソはヴァルテッリーナ・スーペリオーレの区画の一つグルメッロの契約農家から買い付けたキアヴェンナスカ100%使用の赤ワイン。キアヴェンナスカの特徴としてネッビオーロ程にはタンニンは無くて柔らかいワインになり、このティルソも端正でキレイな仕上がりです。リゾット・アッラ・ピロータのサルシッチャとの相性が良し。
(中央)世界的ワイン醸造コンサルタントのアルベルト・アントニーニ氏がトスカーナ州の実家を継いで自分の造りたいワインを造っているのがポッジョ・トンド。赤ワインに力を入れているカンティーナなので上代2000円ちょいのこのヴェンルメンティーノが白ワインのトップ・キュヴェとなります。アロマティックで赤ワインソースが無いチョウザメ単独でならよく合うでしょうね。
(右)トスカーナ州マレンマのポッジョ・アルジェンティエラは昨年12月のタルディーヴォの会でも登場した、スヴェレートのトゥア・リータが買い取ったカンティーナ。マレンマンテはトゥア・リータらしい優等生的な部分が出ているワインでしたがこのベッラマルシリアはトゥア・リータが誇るジュスト・ディ・ノートリのようなガチガチの硬さです。モレッリーノ・ディ・スカンサーノはカンティーナによってかなり差のあるワインですがmicoソムリエールが早い目に抜栓してデキャンタまでしたのにまだこんなに硬いとは驚きです。豊富なタンニンと鉄分とがチョウザメの赤ワインソースとよく合います。
大阪にはイタリア郷土料理を再現できる料理人が本当に増えましたね。小寺シェフのスペシャリテであるラヴィオローネも食べにいかないと。
震えるワイン ジュゼッペ・クインタレッリ
美味しいワインは色々ありますけど震える程美味しくて感動するワインとなると1年の内でそうそうあるものではありません。今回久し振りにそんな震えるワインと出会えました。
そのワインの造り手の名は「ジュゼッペ・クインタレッリ」。カンティーナはイタリアのヴェネト州のヴァルポリチェッラ・クラシコ地区の中心部にて1924年に創立し、三代目当主のジュゼッペ・クインタレッリ氏の代にアマローネの生産者としてその名を轟かせます。残念ながらジュゼッペ・クインタレッリ氏は2012年1月に84歳で他界され、現在は孫のフランチェスコさんが中心となってカンティーナを引き継いでいるそうです。生前にジュゼッペ・クインタレッリ氏が手掛けたヴィンテージのワインはいずれも高価でアマローネやカベルネ・ソーヴィニヨン100%で造るアルゼロは数万円します。私はジュゼッペ・クインタレッリ氏のワインを過去に2度呑んだことがあります。どちらもヴァルポリチェッラ・クラシコ・スーペリオーレで1998年ヴィンテージと1999年ヴィンテージでした。今後もう呑む機会は無いだろうなと、ジュゼッペ・クインタレッリ氏の弟子だったルーカ・フェドリーゴ氏が始めた「ラルコ」のワインでもメチャクチャ美味しいので今後はラルコのワインを呑み続けて行こうと思っていたのですが今回まさかのジュゼッペ・クインタレッリ氏のワインを再び呑める機会が訪れました。
昨年最も多く通った「LA VINERIA BRAVURA(ラ・ヴィネリア・ブラヴーラ)」のワインセラー奥に眠っていたヴァルポリチェッラ・クラシコ・スーペリオーレをmicoソムリエールが抜栓したというのです。それを聞けば行かない訳にはいきますまい。
先ずはパスタランチで空腹を満たして胃腸の状態を整えます。

(左)ピエモンテ州のブライダ「ラ・レジーナ・ディ・フィオーリ ランゲ・ビアンコ ナシェッタ2013」。ナシェッタ100%でシャルドネとソーヴィニヨンをブレンドしたようなボディとアロマのある白ワインです。ナシェッタはヴェルメンティーノを原種とし19世紀までランゲ地方で栽培されていたものの一度は絶滅。1994年にバローロの生産者である「エルヴィオ・コーニョ」当主の女婿ヴァルテール・フィソーレ氏によって復活し、2000年にランゲ固有品種として正式に認定されています。
(右)パスタ・エ・ブロッコリ。昨年のノヴェッロ会で登場したパスタ・エ・ズッカと同じく野菜を形が無くなるまで煮込んだソースをショートパスタと絡めて食べる「パスタ・エ・○○」シリーズ、タク店長の得意パスタですね。今回はブロッコリーをベースにしてそこにジャガイモを混ぜ、細かく刻んだプロシュットをカリカリに炒めて出た肉汁と昨年のタルディーヴォの会の時の余り物のチンタ・セネーゼ豚のラルドを加えて煮込んだソースをランチらしくスパゲッティーニに絡めて食べます。具だくさんなパスタが好きな日本人には視覚的に超地味に見えるかもですが一度食べたらハマる素朴で優しい味ですよ。
そしていよいよ主役の登場です。通常ならボトルで2万円程度で販売するワインなのでグラスワイン用に開けることはまずもって無いのですが前夜にアマローネ好きの常連さんが来店したので是非とも飲んでもらいたくて思い切って抜栓したとのこと。グラスワイン1杯当たりの価格も推して知るべしで流石にポーンと気軽に支払える金額ではないのでメッツォ(=半分)の量と金額でサーヴしてもらうことに。

↑ジュゼッペ・クインタレッリ「ヴァルポリチェッラ・クラシコ・スーペリオーレ2005」。使用しているブドウ品種はコルヴィーナ&コルヴィオーネ&ロンディネッラを主体にネッビオーロやサンジョヴェーゼも少量ずつ入っているようで、アマローネの原料となる陰干しブドウの絞り粕が残った大樽の中にワインを入れて再度アルコール発酵させるリパッソという方法が用いられています。
冒頭で述べたように美味しいワインは多々あります。しかし口に含んだ瞬間にあまりの美味しさに唇が震えるという現象は滅多にあるものではありません。口内いっぱいに広がる香りと長く続く余韻。格の違いを厳然たる事実として感じます。このレヴェルのワインとなるとどんな料理と合うかとかを考える必要は無く、ただワインと相対(あいたい)するのみです。そしてメッツォで丁度良かったなと思いました。1杯当たりの量を減らして1人でも多くの人にこのワインを体感してもらいたいですしあまりに凄いワインなので通常量で呑むとかえって疲れてしまうかもしれません。それにしてもヴァルポリチェッラでこのレヴェルなら良年にしか造らなかったアマローネは想像もできないレヴェルなはず・・・呆然。
ワインの世界は果てしなく奥深いなと改めて感じた昼下がりでした。
そのワインの造り手の名は「ジュゼッペ・クインタレッリ」。カンティーナはイタリアのヴェネト州のヴァルポリチェッラ・クラシコ地区の中心部にて1924年に創立し、三代目当主のジュゼッペ・クインタレッリ氏の代にアマローネの生産者としてその名を轟かせます。残念ながらジュゼッペ・クインタレッリ氏は2012年1月に84歳で他界され、現在は孫のフランチェスコさんが中心となってカンティーナを引き継いでいるそうです。生前にジュゼッペ・クインタレッリ氏が手掛けたヴィンテージのワインはいずれも高価でアマローネやカベルネ・ソーヴィニヨン100%で造るアルゼロは数万円します。私はジュゼッペ・クインタレッリ氏のワインを過去に2度呑んだことがあります。どちらもヴァルポリチェッラ・クラシコ・スーペリオーレで1998年ヴィンテージと1999年ヴィンテージでした。今後もう呑む機会は無いだろうなと、ジュゼッペ・クインタレッリ氏の弟子だったルーカ・フェドリーゴ氏が始めた「ラルコ」のワインでもメチャクチャ美味しいので今後はラルコのワインを呑み続けて行こうと思っていたのですが今回まさかのジュゼッペ・クインタレッリ氏のワインを再び呑める機会が訪れました。
昨年最も多く通った「LA VINERIA BRAVURA(ラ・ヴィネリア・ブラヴーラ)」のワインセラー奥に眠っていたヴァルポリチェッラ・クラシコ・スーペリオーレをmicoソムリエールが抜栓したというのです。それを聞けば行かない訳にはいきますまい。
先ずはパスタランチで空腹を満たして胃腸の状態を整えます。


(左)ピエモンテ州のブライダ「ラ・レジーナ・ディ・フィオーリ ランゲ・ビアンコ ナシェッタ2013」。ナシェッタ100%でシャルドネとソーヴィニヨンをブレンドしたようなボディとアロマのある白ワインです。ナシェッタはヴェルメンティーノを原種とし19世紀までランゲ地方で栽培されていたものの一度は絶滅。1994年にバローロの生産者である「エルヴィオ・コーニョ」当主の女婿ヴァルテール・フィソーレ氏によって復活し、2000年にランゲ固有品種として正式に認定されています。
(右)パスタ・エ・ブロッコリ。昨年のノヴェッロ会で登場したパスタ・エ・ズッカと同じく野菜を形が無くなるまで煮込んだソースをショートパスタと絡めて食べる「パスタ・エ・○○」シリーズ、タク店長の得意パスタですね。今回はブロッコリーをベースにしてそこにジャガイモを混ぜ、細かく刻んだプロシュットをカリカリに炒めて出た肉汁と昨年のタルディーヴォの会の時の余り物のチンタ・セネーゼ豚のラルドを加えて煮込んだソースをランチらしくスパゲッティーニに絡めて食べます。具だくさんなパスタが好きな日本人には視覚的に超地味に見えるかもですが一度食べたらハマる素朴で優しい味ですよ。
そしていよいよ主役の登場です。通常ならボトルで2万円程度で販売するワインなのでグラスワイン用に開けることはまずもって無いのですが前夜にアマローネ好きの常連さんが来店したので是非とも飲んでもらいたくて思い切って抜栓したとのこと。グラスワイン1杯当たりの価格も推して知るべしで流石にポーンと気軽に支払える金額ではないのでメッツォ(=半分)の量と金額でサーヴしてもらうことに。

↑ジュゼッペ・クインタレッリ「ヴァルポリチェッラ・クラシコ・スーペリオーレ2005」。使用しているブドウ品種はコルヴィーナ&コルヴィオーネ&ロンディネッラを主体にネッビオーロやサンジョヴェーゼも少量ずつ入っているようで、アマローネの原料となる陰干しブドウの絞り粕が残った大樽の中にワインを入れて再度アルコール発酵させるリパッソという方法が用いられています。
冒頭で述べたように美味しいワインは多々あります。しかし口に含んだ瞬間にあまりの美味しさに唇が震えるという現象は滅多にあるものではありません。口内いっぱいに広がる香りと長く続く余韻。格の違いを厳然たる事実として感じます。このレヴェルのワインとなるとどんな料理と合うかとかを考える必要は無く、ただワインと相対(あいたい)するのみです。そしてメッツォで丁度良かったなと思いました。1杯当たりの量を減らして1人でも多くの人にこのワインを体感してもらいたいですしあまりに凄いワインなので通常量で呑むとかえって疲れてしまうかもしれません。それにしてもヴァルポリチェッラでこのレヴェルなら良年にしか造らなかったアマローネは想像もできないレヴェルなはず・・・呆然。
ワインの世界は果てしなく奥深いなと改めて感じた昼下がりでした。