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王道中の王道トーレスのトップワイン会

  先月に異例尽くしのチャコリの生産者のメーカーズ・ディナーを開催した「ETXOLA(エチョラ)」が今度は一転して王道中の王道の生産者「トーレス」のメーカーズ・ディナーを開催しました。トーレスは1870年にカタルーニャ州ペネデス地方で創業し、カタルーニャ州だけでなくリオハやリベラ・デル・ドゥエロ、ルエダ、リアス・バイシャスでもワインを造り、アメリカのカリフォルニア州に「マリマー・エステート」、チリに「ミゲル・トーレス・チリ」という系列ワイナリーも持つスペイン最大手のボデガ。そのトーレスのエリア・マネージャーであるジョセフ・プラナ氏を囲んでの会です。
  トーレスのワインと言えば牛のマークで御馴染みの「サングレ・デ・トロ」シリーズがあまりに有名ですが正直カジュアルラインのワインには興味がありません。サングレ・デ・トロを最後に呑んだの4年前でした。今回、メーカーズ・ディナーへの参加を決めた理由はトップレンジの単一畑シリーズを含む構成だと平山オーナーから聞いたからです。

  ここで業界話を一つ。トーレスのワインの日本での正規代理店は長らく三国ワイン株式会社が担ってきました。私もトーレスと言えば三国ワインというイメージを持っていたのですが2015年1月からエノテカが正規代理店に変わりました。これは三国ワインの親会社だった三国コカ・コーラボトリング株式会社が三国ワインをスペインのC.V.N.Eクネに売却したことに起因していると見て間違い無いようです。クネはトーレスと並ぶスペインワイン界の二大巨頭であり、トーレスにしてみれば自社のワインをライバル社の子会社に担当させる訳にいかないですからね。そんな訳で今回のメーカーズ・ディナーもエノテカとの協賛です。ちなみに新生ETXOLAの第一弾メーカーズ・ディナーは三国ワインとの協賛でクネ&ロジャー・グラートの会でした。

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↑トーレスについて説明するジョセフ・プラナ氏。グループ全体で総合計1300ha以上の畑を所有しワインを世界140ヵ国以上に輸出。1960年代から世界市場に通じるワイン造りのためにフランス品種(特にカベルネ・ソーヴィニヨン)に力を入れ、ボルドーのメドックの第1級シャトーに匹敵する評価のマス・ラ・プラナを誕生させます。また、ヨーロッパのワイナリーでチリに進出した最初のワイナリーでもあります。そのブランド力とマーケティング力を評価されてイギリスの「Drinks International」で2011年から2013年まで3年連続2位を経て2014年と2015年とで2年連続1位を獲得。

<ワインリスト>
1.パソ・ダス・ブルーシャス アルバリーニョ2014(D.O.リアス・バイシャス)
2.ミルマンダ シャルドネ2012(D.O.コンカ・デ・バルベラ)
3.アルトス・イベリコス・クリアンサ2013(D.O.Caリオハ)
4.サルモス2012(D.O.Caプリオラート)
5.マス・ラ・プラナ カベルネ・ソーヴィニヨン2010(D.O.ペネデス)
6.フロラリス モスカテル・オロ

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↑スペイン各地からバランスよく構成された6種類。今回のミルマンダとマス・ラ・プラナ、そしてペネデスのピノ・ノワール100%のマス・ボラスとカリニェーナ主体のグラン・ムラーリェスとがトーレスのトップレンジである単一畑シリーズです。
  パソ・ダス・ブルーシャスはアルバリーニョの特徴が端的に出ています、ステンレスタンク発酵&熟成によるフレッシュさとミネラルと塩味(えんみ)。魚介との相性は抜群ですから家庭飲みにも良いでしょうね。
  ミルマンダはスペイン王室のクリスティーナ王女の結婚晩餐会でもサーヴされたトーレス自慢の最上級の白ワイン。コンカ・デ・バルベラというエリアはカタルーニャ山脈の山頂に位置し、人が容易に踏み込めない秘境地にあるミルマンダ城下の単一畑で有機栽培したシャルドネを100%使用。フレンチオーク樽で発酵後にシュール・リーを行い、フレンチオークの新樽で12ヵ月熟成。なので樽香がすごくある分厚い白ワインなのですが樽の使い方が巧くて嫌味や外連味の無いスマートな白ワインに仕上がっています。確かにこれはスペイン最上のシャルドネと言っても過言ではないでしょう。
  リオハ・アラベサのテンプラニーリョ100%のアルトス・イベリコス・クリアンサは価格的には中間レンジでミルマンダとサルモスとに挟まれていると一息付くワインのように思えますが意外と鉄分豊かであなどれないワインです。カカオ香が強いのはアメリカンオーク樽で熟成していると聞いて納得しました。
  サルモスはポレラ村とリョアール村のブドウを使用していて単一畑シリーズではありませんが単一畑シリーズに肩を並べるトップワインです。カリニェーナとガルナッチャとシラーといういわゆるローヌブレンドの赤ワインでプリオラートの赤ワインの特徴である凝縮した果実味を備えつつスタイリッシュでスマートなスタイル。
  かってグラン・コロナス・ブラックラベルとしてリリースされていたマス・ラ・プラナこそトーレスを世界的に有名にしたフラッグシップワイン。ペネデス中央部にある29haの単一畑マス・ラ・プラナにて有機栽培したカベルネ・ソーヴィニヨン100%使用、フレンチオークの新樽で18ヵ月熟成させてからさらに最低18ヵ月以上の瓶内熟成を経てリリース。かなり堅くて重い赤ワインを予想していたら2010年ヴィンテージでも既に今呑んで十分に美味しい状態なことに驚きました。もちろん熟成ポテンシャルは残しつつ。
  フロラリスはモスカテルで造る甘口酒精強化ワインで3年前の郷土料理会④バスク編以来です。

  約3週間のスペイン研修から戻ってきた清水シェフの料理を食べるのも今回の大きな楽しみ。魚介を使った前菜が2皿あるので魚料理が無く、食べ応えのあるアルビアスとモルシージャがあるのでアロス(=米料理)も無しです。

<コース料理>
1.アジのタルタルに新玉ねぎのクリームとエラードを添えて
2.毛ガニのチャングーロ
3.アルビアス・デ・トロサとモルシージャ
4.ウサギ肉のカネロン
5.国産牛Lボーンの炭火焼き
6.カタルーニャ風ムシカ

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 (左)アジとアヴォカドとトマトのタルタルの下に新玉ねぎのクリームを敷き、上には新玉ねぎのエラード(=アイスクリーム)をのせるというダブル新玉ねぎな一皿。同じ新玉ねぎを使いながらクリームとエラードとで味の出方が全然違っていておもしろいですね、クリームの方はまんま新玉ねぎな味です。アジのタルタルとパソ・ダス・ブルーシャスとの相性は言わずもがな。
 (右)バスクではセントージョというカニで作るチャングーロを毛ガニの身と味噌と甲羅を使って再現。カニは赤ワインと相性の良い素材ですが樽の効いた分厚い白ワインであるミルマンダとも好相性。

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 (左)トロサ産アルビアスとモルシージャは昨年12月のオンタニョンのメーカーズ・ディナーでも登場しているのですが今回は清水シェフがトロサのハテツェア(=レストラン)で学んできたレシピを再現しているのです。正直これまでとは全くの別モノ、別次元の美味しさ!ガーリックソテーしたちりめんキャベツもアクセントになっています。アルトス・イベリコス・クリアンサの鉄っぽさとモルシージャの豚の血の鉄っぽさ同士が良いですね。
 (右)トーレスの本拠がカタルーニャ州にあることからカタルーニャ伝統料理のカネロンがコースの中に入ったのだと思われます。ウサギ肉の煮込みを巻いたカネロンに羊乳チーズのイディアサヴァルをのせてオーヴンで焼き、アサリの出汁がベースのホウレン草のサルサを合わせるという組み合わせがおもしろい。

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↑清水シェフが焼き上げたLボーン肉をカットする前に客席に御披露目。Lボーン肉というのは骨付きリブロース肉のことでTボーン肉に比べて脂身が多いので炭火で焼くと脂身から落ちる脂ですごい煙が上がりカウンター席に座っているとスモークされそうな位でした(笑)。

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 (左)アルビアスとモルシージャにも驚きましたがそれ以上に驚いたのが炭火焼きのインパクト。パンチの効いた塩加減とめちゃワイルドな焼き上がりなのです。清水シェフの炭火焼きは上品な焼き上がりという印象を持っていましたが今回はあえてワイルドな焼き方をしてみたとのこと。
 (右)このムシカというポストレは全くの初見です。

  流石はスペイン最大手のボデガのトップワイン、間違いの無いクオリティーでした。そして清水シェフの料理も大幅にグレードアップしていました。

マルケ超マイナー品種を研究するテッラクルーダ来阪

  一昨年の「ファットリア・サン・ロレンツォ」以来となるマルケ州の生産者イベントに参加しました。「テッラクルーダ」当主ルカ・アヴェナンティ氏を迎えてのテイスティング・セミナー&懇親パーティーが「Cave de Terre(カーヴ・ド・テール)淡路町店」にて開催されたのです。
  実は翌日も別のワインショップの周年パーティーにルカさんとテッラクルーダのワインが出ることになっていて当初はそちらの方への参加を検討していたのですがインポーターの株式会社仙石の旧知の営業担当者Y氏よりワインをじっくり知るならCave de Terre淡路町店での少人数のイベントの方が適しているとお薦めいただきこちらへの参加を決めたという経緯がありました。かっては月に何度も訪れていたCave de Terre淡路町店もここ3年は年に1回とかの頻度でしか行けてません・・・これは同店に限らず以前程に自宅でワインを呑まなくなったので他のワインショップについても似たような感じなのですが。淡路町店からワイン卸事業部に異動した弓場さんと専ら西宮北口店に入っている生田さんのお顔も久し振りに見られて懐かしい気持ちになりました。

  伝統工芸品である素焼き器「テッラコッタ」で知られるフラッテローザ村でアヴェナンティ家がブドウ畑を購入してカンティーナを立ち上げてまだ10年程。株式会社仙石とはイタリアワインの見本市「ヴィニタリー」で出会って2013年に同社が日本に初めて輸入を開始しました。

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↑マルケ州とテッラクルーダについて熱弁を振るうルカさん。通訳は株式会社仙石の仙石恭子マネージャー。日本語・英語・イタリア語の3ヵ国語を操る仙石マネージャーは私の中ではVite Italia高岡ソムリエと鷲谷商店の波田統括と並ぶ三大名通訳者です。
  ルカさん曰く「農業が産業の中心のマルケ州は50年昔のような風景で電車も通っていないのでマルケ州に来るときは車で来て下さい。もちろん僕のカンティーナを案内しますよ」。

 テッラクルーダの大きな特徴はマルケ土着ブドウの中でもアレアティコやビアンケッロ、インクルッチョ・ブルーニ54といったマイナー品種100%のワイン造りに特化していること。醸造家のジャンカルロ・ソヴェルキア氏とアンコーナ大学農学部との繋がりによるマルケ土着品種保存プロジェクトでヴェルナッチャ・ディ・ペルゴラ、ガロフォンタ、スグラネッラといった聞いたことも無い超マイナー品種の栽培も行っています。また、地元ではフレッシュな早飲みワインとして認知されているビアンケッロで実験的な醸造を行っています。

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 (左)初入荷の「ビアンケッロ・スプマンテ・ブリュットNV」。ビアンケッロを使ってメトード・シャルマー(ステンレスタンク内二次発酵方式)で仕上げたスプマンテ。ルカさん曰く「ビアンケッロは本来フレッシュなワインになるのでメトード・シャルマーが適しているけど実はメトード・クラシコ(瓶内二次発酵方式)にも取り組んでいるんだよ。仕込んでまだ1年程なのでリリースできるのは先のことだけどね」。
 (中央)「ボッカヴィーノ ビアンケッロ・デル・メタウロ2014」と「コダッツォ ペルゴラ・ロザート2014」。ボッカヴィーノにはスプマンテ用のビアンケッロよりも1週間程遅く収穫したビアンケッロを使用しステンレスタンクでの熟成&発酵を行います。2000年前は海だった土壌のおかげでモルト・ミネラーレな白ワインに仕上がっています。アレアティコ100%でロゼ・ド・セニエで仕上げたロザートについてルカさんは「魚介とも相性イイかもね」と言うので「具体的にどんな魚介料理?」と突っ込んで聞いてみると「マルケではまだまだ生の魚介を食べる風習は無いので地元料理のブロデットとかバッカラ・アンコネターナとかとがイイと思う。でも自分ならフォルマッジョとかサラーメとアペリティーヴォとして飲むけど(笑)」との答え。
 (右)「インクロッチョ・ブルーニ54」。1936年にブルーニ教授がヴェルディッキオとソーヴィニヨン・ブランとを交配させて生み出した「ブルーニ教授の交配させた54番目のクローン」というそのまんまな名前のブドウ品種インクロッチョ・ブルーニ54がテッラクルーダの敷地内で細々と生息しているのを発見してそこからこの品種100%で白ワインを造れるようになるまで栽培量を増やせたそうです。苦味とミネラルとのバランス、その中に旨味を感じます。

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 (左)これも初入荷の「オルチョ コッリ・ペサレージ・サンジョヴェーゼ2014」。フルーティーでサラッとしたサンジョヴェーゼでチェリーとバラの香りがします。ラクリマやアレアティコだけでなくサンジョヴェーゼにまでバラ香がするのがちょっと驚きです。
 (中央)「オルタイア ペルゴラ・アレアティコ・スーペリオーレ2012」。バラの香り満開で15.5%というアルコール分の高さそのまんまに重戦車のようなド迫力な赤ワイン!この上に「ルバコ」という最上級のアレアティコがあるのですがオルタイアとルバコの違いは樽熟成に使うフランス産バリックが新樽か旧樽かの違いです。
 (右)「カンポダルキ・オーロ ビアンケッロ・デル・メタウロ・スーペリオーレ」。「銀と金」と名付けられたテッラクルーダ最上のビアンケッロ。10月に収穫したビアンケッロをシュール・リーしてからフランス産新バリックで熟成させてあり、正直ここまでやると樽がキツ過ぎます。ビアンケッロの常識を覆す実験的かつ意欲的な醸造であることは分かりますがちょっとやり過ぎかな・・・個人的にはボッカリーノが素直で素朴で一番好きです。

  料理は西宮北口店で自社ブランドのデリカテッセン「TOP DISHES」を仕込んでいる内藤シェフが担当。かって「淡路町の母」と呼ばれスープフォンデュ等の数々の傑作料理を生み出した生田さんも内藤シェフが加入してからはすっかり御役御免となってしまったそうです(笑)。

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 (左)アンティパスト・ミストは飴色玉ねぎのキッシュ&カポナータ&アンチョヴィバターを塗ったパン&大根とレンティッキエ(=レンズ豆)煮込み。
 (右)8㎏もある骨付き豚腿肉の自家製ハムをスライスしてタルタルソース&サルサ・ヴェルデ&クランベリーのソース&バターを添えて。これと同量のおかわりを2回もしました、おかげでお腹一杯。

 Y氏の薦め通り少人数の会なのであれこれ質問することができて大満足でした。やはり生産者イベントは質問できてナンボですね。

異例づくめのチャコリだけのメーカーズディナー

  バスク料理店「ETXOLA(エチョラ)」の2016年最初のメーカーズ・ディナーは異例づくめの会となりました。やって来たのはバスクのアラバ県オコンドにあるチャコリの生産者「セニョリオ・デ・アストビサ」の総責任者のジョン・スベルディア氏。そうです、昨年にシェリー生産者のシェリー尽くしの会を開催した平山オーナーがついにチャコリに始まりチャコリに終わるチャコリ尽くしの会の開催に踏み切ったのです。
 今回の日程が料理長の清水シェフのスペイン研修旅行の日程と被っているため、事前に清水シェフが考案したメニューを留守番の厨房スタッフが再現。また、今宵限りのスペシャルな助っ人として吹田市江坂の知る人ぞ知るスペインバル「LLENO(ジェノ)」の岡田シェフも緊急参戦。スペイン狂の「最強の同志」をして「大阪で、いや日本で一番美味しいパエージャが食べられるお店」と言わしめる岡田シェフが自店の定休日とはいえ他店にヘルプに入るなんてことは岡田シェフを知る人にはビックリ仰天の異例のことのようです。

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↑プロジェクターを使ってチャコリとボデガの説明に熱弁を奮うスベルディア氏。
  チャコリの生産地域のうちD.O.の認定を受けているのはD.O.ビスカイコ・チャコリーナとD.O.ゲタリアコ・チャコリーナとD.O.チャコリ・デ・アラバの三つのみ。セニョリオ・デ・アストビサのボデガと畑があるアラバは三つの地域のうち唯一内陸にある地域ながらも大西洋からそう離れていないため大西洋と内陸気候の両方の影響を受け、降水量が少なくブドウもよく熟すそうです。
  元々はブドウ農園だったセニョリオ・デ・アストビサは農学博士のホセ・イダルゴ氏と醸造家のアナ・マルティン氏とがタッグを組んで2006年にボデガに転身を遂げました。ブドウの収量を法定上限収量の半分に抑えて品質を重視する一方で他のボデガがまだやっていないことにも積極的に取り組んでいるとのこと。

<ワインリスト>
1.ソーヨ2015
2.アストビサ レイト・ハーヴェスト2014
3.アストビサ2014
4.マルコア2013
5.アストビサ・ロゼ2015 ※日本未輸入

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  かってはバスク地方の門外不出の地ワインと言われていたチャコリも輸送技術の発展に伴いこの数年で日本への輸出量が大幅に増えてどこのスペインバルでも飲めるようになりました。しかし、チャコリには微発泡タイプだけでなく発泡タイプや非発泡のスティルタイプ、ロゼもあることは余程のバスク好き、チャコリ好きでないと知らないでしょう。今回は微発泡タイプが1種類のみでスティルタイプが甘口とロゼ含めて4種類という微発泡タイプのチャコリしか知らない人なら驚く構成になっています。セニョリオ・デ・アストビサのワインは複数のインポーターが日本に輸入していてどこかの特定のインポーターとの協賛ではこの構成を実現させるのが難しいことからインポーターとの協賛ではなく木津市場内のスペインワインと食材の専門店「vinoteca PANENCA(ヴィノテカ・パネンカ)」との協賛なのです。実はvinoteca PANENCAの販売責任者のM氏は一昨年のボデガス・ウリベス・マデロのメーカーズ・ディナーの時の通訳さんで私が散々質問しまくって困らせた人なのです。この日は別の人が通訳だったので「今日は僕の時みたいな鋭い質問しないんですか?」といじられました(笑)。

  微発泡タイプのソーヨは日本市場で流通しているチャコリのほとんどが微発泡タイプであることを意識して意図的に微発泡タイプに仕立てたというもの。分かり易く青リンゴのニュアンスとフレッシュな飲み口。泡が抜けるのが早いですね。契約農家のオンダラビ・スリ80%とオンダラビ・スリ・セラティエ20%のブレンドでスベルディア氏は「オンダラビ・スリは味のブドウ、オンダラビ・スリ・セラティエはアロマのブドウ」と説明します。ちなみにソーヨはスベルディア氏の祖父が経営していたレスタウランテの店名なのだとか。
  レイト・ハーヴェストはセニョリオ・デ・アストビサがチャコリのボデガとして初めて手掛けた甘口チャコリで、11月後半から12月にかけての収穫というのはスペイン全土でも最も遅い収穫時期とのこと。ブドウ品種はオンダラビ・スリではなくイスキリオタ(グロ・マンサン)100%。アルコール分が高くなり過ぎないように調整しているそうで元々が酸度の高いブドウだからなのか穏やかな甘さです。
  アストビサは自社畑のオンダラビ・スリ90%とオンダラビ・スリ・セラティエ10%のブレンドでまさに「強酸」という言葉がピッタリの酸度の高さ。
  マルコアとはバスク語で「涙」を意味し、自社畑のオンダラビ・スリ100%使用でブドウを圧搾せず自重のモストだけを発酵するのでモストが滴る様子を涙に見立てて涙を意味するマルコアがワイン名に使われているそうです。第一印象はチャコリにしてはかなりボディがあるなというものでしたが時間の経過とともに温度が上がってむしろ重いとさえ感じるようになりました。これだけ重さを感じる白ワインはなかなかありませんね。
  日本未輸入のアストビサ・ロゼは自社畑の南向き区画のオンダラビ・スリとオンダラビ・ベルチェとを50%ずつブレンド。ちなみにロゼのチャコリをマグナムボトルで瓶詰めしたのもセニョリオ・デ・アストビサが初だそうです。淡いサーモンピンクなので軽いのかと思ったら色合いからは想像できないフルボディのごっついロゼです。正直チャコリで炭火焼きの肉料理と合うモノがあるのか半信半疑どころか疑いの方に大きく傾いていたのですがこのロゼなら豚肉や仔羊ともイケますよ。

  さて、スペインの原産地呼称制度には他とは際立った違いのあるテロワールの畑から生み出される高品質ワインを単一ブドウ畑限定高級ワインとして認定するヴィノス・デ・パゴVinos de Pagoという呼称があり、セニョリオ・デ・アストビサのチャコリもそのヴィノス・デ・パゴなのだという情報を事前に入手していたのですがスベルディア氏がそのことについて全く触れないので直接聞いてみました。すると、ヴィノス・デ・パゴ協会のような団体があってそこにお金を払わないとヴィノス・デ・パゴと冠することができず、セニョリオ・デ・アストビサは加入していないのでヴィノス・デ・パゴとは言わないが中身としてはヴィノス・デ・パゴに該当するとの回答でした。

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↑カウンター席から厨房の様子が丸見えなのがETXOLAの大きな魅力の一つ。

<コース料理>
1.フランス産ホワイトアスパラガスと小松菜のクレマ
2.フォアグラのトゥロン
3.アサリのアロス
4.根室産タラのピルピル
5.バスク産キントア乳飲み仔豚の炭火焼き
6.ソリアさんのイディア・サバルのムースとハチミツのアイスクリーム

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 (左)鮮やかな緑色の小松菜のクレマが思ったよりも苦味が無くてクリーミーです。このクリーミーさがソーヨのフレッシュさとよく合っています。全体的にあっさりな味付けなところにハモンの塩分がキリッと引き締めています。
 (右)本来のトゥロンとはバルセロナ名物菓子でフランス菓子のヌガーのようなものですが今回はレイト・ハーヴェストのチャコリと合わせるためのアテとしてのトゥロン。アーモンドクリームを混ぜたフォアグラのムースを長方形に成形し、上にクリームチーズとローストナッツをトッピング、添えられているのはイチジクのソース。見た目は完全にポストレですが中身はフォアグラ料理です(笑)。

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 (左)かなりあっさり仕立てなアサリのアロス。その奥に感じる出汁のような旨味とアストビサの強酸とが合うのです。
 (右)バスク名物料理であるピルピルは本来は干しダラをニンニクとオリーヴ・オイルとで煮詰めて干しダラの皮の部分のゼラチン質を溶け出させ乳化したサルサ・ピルピルと一緒に干しダラを食べるのですがこれはサルサ・ピルピルを先に作っておき加熱した生ダラにたっぷりとかけて食します。スベルディア氏の祖父が経営していた「ソーヨ」では野菜の入ったカエルゲームクラブ風ピルピル(?)という料理が名物だったという話があり、スベルディア氏に喜んでもらおうと岡田シェフの発案でピルピルがコースの中に入ったそうです。この日ベストの料理がこのピルピルでした。タラの切り身も大きいし濃厚なサルサ・ピルピルもたっぷりでボリューミーなのをマルコアのすごいボディと重さがしっかりと受け止めてくれます。

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 (左)バスクのキントア豚自体はETXOLAでは以前からよく使っている素材ですがその乳飲み仔豚というのは初めてです。しかもコチニージョ(=仔豚の丸焼き)風に皮目をカリッカリのクリスピー状に香ばしく焼き上げてあるところがまた良きかな。皮と肉との間の皮下脂肪が美味しいのです。アストビサ・ロゼの淡いサーモンピンクからはこの仔豚ちゃんと合うようには思えないけど上述の通りごっついロゼなので完璧なまでにマッチしています!
 (右)ポストレ名に謎の人物ソリアさんの名前があるので誰なのか聞いてみるとセニョリオ・デ・アストビサの近くで羊乳チーズのイディア・サバルを作っている人なんだとか。ここでレイト・ハーヴェストが再び登場。イディアサバルのムース自体にはあまり甘味は無くてハチミツのアイスクリームで甘味を添加する感じなのですが単に甘さだけでいうとフォアグラのトゥロンの方がかなり甘いです。

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↑平均年齢が若いETXOLA厨房スタッフの中で異彩を放ちまくりの岡田シェフ。平山オーナーから紹介されて「今日は皿洗いに来ただけなんで~」と冗談を返してはりますが乳飲み仔豚を炭火で焼いてるところを視認しましたしコース料理の随所でアドヴァイスが効いていたそうです。

  これまで色々な会に参加してきましたが今日ほど未知なる会は初めてでした。チャコリも実に奥深い、発見がたくさんありました。


2016年初の来阪生産者はトスカーナの令嬢

  2016年初の生産者イベントはイタリアのトスカーナ州からやって来た御令嬢を囲む会です。その御令嬢とは、トスカーナ州キァンティ・クラシコ地区ラッダ・イン・キァンティのヴォルパイア村にある「カステッロ・ディ・ヴォルパイア」当主カルロ・マスケローニ氏の長女で輸出マネージャーを務めるフェデリカ・マスケローニさん。そして会場は今年も多くの生産者が訪れることが必至の「LA VINERIA BRAVURA(ラ・ヴィネリア・ブラヴーラ)」。

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↑フェデリカさんは宝塚の男役のような長身のスラッとした体形にオッキアーリ(=メガネ)がトレードマークの美女です。

  カステッロ・ディ・ヴォルパイアの歴史はフェデリカさんの祖父の代まで遡ります。資産家として知られるラファエロ・スティアーニ氏がヴォルパイア村の美しさに魅了されて1966年にヴォルパイア城を含めて村全体の3分の2を購入。そして1972年に娘のジョヴァンネッラさんとカルロ・マスケローニ氏とが結婚した時に二人へのお祝いとして所有地全部を譲渡し、これがカステッロ・ディ・ヴォルパイア飛躍の契機となるのです。景観保護区に指定されているヴォルパイア村の景観を保ちつつキァンティ・クラシコ地区で最も早く温度管理の可能な発酵槽を導入する等の設備投資を果たし、45haある自社畑で有機農法を実践。カルロ・マスケローニ氏はキァンティ・クラシコ地区の重鎮として1997年からキァンティ・クラシコ協会の会長を務めています。

<ワインリスト>
1.カステッロ・ディ・ヴォルパイア「ボッリチーネ・ディ・ニカNV」
2.プレリウス「ヴェルメンティーノ2013」
3.カステッロ・ディ・ヴォルパイア「キァンティ・クラシコ2013」
4.カステッロ・ディ・ヴォルパイア「キァンティ・クラシコ2011」
5.カステッロ・ディ・ヴォルパイア「キァンティ・クラシコ2009マグナム」
6.カステッロ・ディ・ヴォルパイア「キァンティ・クラシコ・グラン・セレツィオーネ イル・プーロ カーサノヴァ2010」※日本未輸入

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 (左)ボッリチーネ・ディ・ニカはフェデリカさんのお兄さんの発案で生まれたスプマンテで、トスカーナ産ではなくロンバルディア産のピノ・ネロを100%使用したメトード・クラシコ(=瓶内二次発酵方式)のスプマンテ。何と仕上げの「門出のリキュール」にシチリア州パンテッレリア島のジビッボのパッシートを添加していて、これはパンテッレリア島に別荘を買ったら小さなブドウ畑が付いてきてそこで栽培しているジビッボなのだそうです。ピノ・ネロは有機栽培ではないのでヴォルパイアのワインでは唯一ヴィーノ・ビオロジコではありません。酸度はあまり高くなくふくよかで蜜感と糖度を感じます。同じロンバルディア産のフランチャコルタと似た印象で食中酒として色々な料理と合わせられそう。
 (中央)プレリウスは標高が高くて冷涼なラッダ・イン・キァンティと真逆の海に近くて日照量の多いマレンマの地で新たに始めたプロジェクト。ヴォルパイアのワインよりも若干お安い目の価格設定ながらこちらも有機栽培ブドウを使ったヴィーノ・ビオロジコ。アロマティックな香りと豊富なミネラル、そして塩っ気を感じます。プレリウスとは古代ローマ時代に存在した大きな湖の名前で、同地は現在は国立公園となって小さな湖しか残っておらずエチケッタに描かれた水色の丸は小さくなった湖を表現しています。
 (右)夕方からの開催ということで食べ物はパーネ&サラーメ・トスカーノ&サラーメ・マントヴァーノ&サラーメ・タルトゥーフォ・ネロ&カポコッロの盛り合わせ。写真はありませんがパーネ・トスカーノも出ました。パーネ・トスカーノの最大の特徴は無塩であることですが、その昔に塩に課税されたことが原因でパーネ・トスカーノは無塩になったそうです。

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↑キァンティ・クラシコの比較テイスティング。エチケット上部のマークをよく見るとキツネが描かれているのが判ります。これはヴォルパイアの語源がヴォルピ(=キツネ)であることに由来します。
  2013年ヴィンテージはサンジョヴェーゼとメルローのブレンドですが、2011年ヴィンテージと2009年ヴィンテージはサンジョヴェーゼとメルローとシラーのブレンドです。シラー由来のスパイシーさを除きたくて2013年ヴィンテージからシラーのブレンドを止め、シラーの樹も抜いてしまったそうです。現行最新ヴィンテージである2013年ヴィンテージはまだ若く硬く閉じていてシュッとした印象。2011年ヴィンテージはボリューミーでエロティックで赤身肉料理を欲します。2009年ヴィンテージはマグナムボトルで熟成具合も緩やかな分まだ硬さも若干残っているものの最もラッダ・イン・キァンティのワインらしさを感じます。

  そして今回のイベントの目玉ワインが日本未輸入のキァンティ・クラシコ・グラン・セレツィオーネ。グラン・セレツィオーネはキァンティ・クラシコの最上級ワインとして2013年に新たに誕生した格付けで、自社畑のブドウを100%使用して最低でも30ヵ月以上熟成させることが法定されていて2010年がファースト・ヴィンテージとなります。既にバローネ・リカーゾリやサン・ファビアーノ・カルチナイア、カーサ・エンマ等多くのカンティーナのグラン・セレツィオーネが日本に輸入されていますがカステッロ・ディ・ヴォルパイアのグラン・セレツィオーネはあまりに高価過ぎて正規輸入されていないのです(スーパートスカーナのサッシカイア並の価格です)。

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↑木箱に納められ、他のキァンティ・クラシコとは一線を画するボトルデザイン。イル・プーロとは「ピュア」を意味し、コントラーダ(=単一畑)のカーサノヴァのサンジョヴェーゼ100%混じりっけ無しで除梗せず全房発酵です。カーサノヴァのサンジョヴェーゼはグラン・セレツィオーネ誕生以前はキァンティ・クラシコ・リゼルヴァに混ぜて使用していましたが、グラン・セレツィオーネ誕生に伴い単一畑のワインにすることにしたそうです。このクラスのワインだと2010年ヴィンテージはまだ飲み頃に遠いはずなのですが力強さを感じながらも今呑んでも十二分に美味しいです。

  フェデリカさんのBRAVURA来店の話が入ったのが4日前のことでタク店長が原価計算等の細かいことを考えずに急遽企画した今回のイベント。日本未輸入で今後入荷する見込みもほとんど無いグラン・セレツィオーネを振る舞ったのも急なイベント企画に応じてくれた参加者の皆さんへのタク店長の粋な計らいなのでした。


2015年最後のメーカーズディナーはオンタニョン

  2015年も多くの生産者イベントに参加しましたがその最後を飾るのはスペインのラ・リオハ州ログローニョの「ボデガス・オンタニョン」のメーカーズ・ディナー@ETXOLA(エチョラ)です。寡聞にしてボデガス・オンタニョンもインポーターである株式会社正光社も今回初めてその名を知りました。予習のためにインポーターHPを見てみると上級ワインはそれ相応の価格ですがスタンダードなワインはカジュアルな価格帯ですね。

  今回やって来たのはオーナーであるぺレス・クエバス家のレティシア女史。ボデガス・オンタニョンはぺレス・クエバス家が1984年にリオハ・バハのケルという村に創立し、現在はケルを中心に250haもの畑を所有しているそうです。最大の特徴は上級ワインであるレゼルヴァとグラン・レゼルヴァを良年にしか造らず、しかもリリースまでの期間が異様に長いこと。どちらも2000年台では2001年、2004年、2005年、2010年の4つのヴィンテージしか生産しておらず、今回の目玉が今年ついにリリースされた2005年ヴィンテージのレゼルヴァとグラン・レゼルヴァなのです。

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 (左)席にはオンタニョンのオリジナルのソムリエナイフとボールペンがセッティングされていました。早速このボールペンでメモを取ります。
 (右)レティシア女史。

<コース料理>
1.ホタテ貝柱とアヴォカドとイチゴのタルタル&チャングーロ
2.長崎産サバのスモークマリネ
3.モルシージャとトロサ産アルビアスとギンディージャと乾燥キャベツ
4.フランス産キノコのアロス
5.スペイン産アンコウのプランチャにサルサ・ティンタ
6.蝦夷鹿ロース肉の炭火焼きをビーツのソースで 
7.ラ・ヴィーニャのタルタ・デ・ケソ

<ワインリスト>
1.クラレテ2014
2.ヴェティヴェール・ブランコ2013
3.クリアンサ2011
4.エコロヒコ・クリアンサ2010
5.レゼルヴァ2005
6.グラン・レセルヴァ2005

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 (左)スプーンに盛った一口タルタルにはクラレテに合わせてイチゴの甘味をアクセントに。チャングーロとはカニのほぐし身とカニ味噌をトマト煮込みにしたバスク名物タパスで清水シェフ的アレンジはカダイフ包みにしてそのパリパリの食感とともに。
 (右)珍しくロサド=ロゼワインが最初にサーヴされました。ロゼワインの製法には、①セニエ法と②直接圧搾法と③混醸法の3種類があり多くのロゼワインは①セニエ法で製造されていますがリオハでは③混醸法でロゼワインを造るのが典型的という驚くべき事実がレティシアさんから語られました。リオハではビウラと呼ばれるマカベオ85%とテンプラニーリョ15%のブレンドでこのテンプラニーリョの果皮から色素が抽出されます。ボディはとても軽くて淡く、スウィーティーです。

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 (左)サバのマリネは程良くスモークがかかっていて熟し柿と一緒に食べるというおもしろい組み合わせ。
 (右)ヴェティヴェール・ブランコはビウラ100%の白ワインで当初はこのワインを最初にサーヴする予定だったのをテイスティングの結果クラレテと入れ替えたそうですが呑んでみると納得です。色調を良くするために18日間のマセラシオン(=果皮浸漬)を行っていてこれ以上漬け込むとアロマが付き過ぎてしまうそうです。しっかりした骨格と密度が高く、アメリカンオーク樽で5ヵ月熟成させたことによる樽感も感じられます。この後にクラレテを呑むとクラレテの印象がほとんど残らなくなってしまいますね。

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 (左)豚の血入りソーセージであるモルシージャとトロサ産の黒インゲン豆であるアルビアスと青唐辛子の酢漬けであるギンディージャとを一緒に食べるのがバスク名物料理。実はこの料理は前任の山本シェフの得意料理でもあったのですが二人のシェフの表現方法の違いを見比べてみるとおもしろいですね。2号店バル「gastroteka bimendi(ガストロテカ・ビメンディ)」では米入りのモルシージャを常時提供していますが今回のモルシージャは米は入っていません。米が入る分まろやかになるのですが私は米無しの方がモルシージャを食べている実感があって好きです。しかしまさか前日のイベントから2日連続で豚の血の入った料理を食べることになるとは(笑)。
 (右)オンタニョンのスタンダードな赤ワインであるクリアンサにはテンプラニーリョ90%にガルナッチャ10%をブレンドしてアメリカンオーク樽とフレンチオーク樽とに分けて熟成させて最後に8:2の比率でブレンド。赤ワインのクリアンサの法定基準は樽熟期間6ヵ月以上を含めて24ヵ月以上の熟成を行うことでオンタニョンでは樽内で12ヵ月、瓶内で12ヵ月の熟成をさせてからリリースしています。柔らかいタンニンでスムーズに呑めます、美味しいクリアンサのお手本的な出来でモルシージャとギンディージャとの相性が抜群!

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 (左)前回のシェリー生産者の会では冷凍した卵黄を燻製オイルに漬け込んで薫香を付けていましたが今回はサバをスモークマリネしていることもあってか卵黄に薫香は無しで。
 (右)エコロヒコという名称の通りEUのオーガニック認証を受けている赤ワインです。通常のクリアンサと違ってテンプラニーリョ100%なのは元からテンプラニーリョは有機栽培でやっていたがガルナッチャが有機栽培でなかったのでガルナッチャをブレンドしないようにしたからだそうです。クリアンサもなかなかの出来でしたがこのエコロヒコ・クリアンサの方がさらに出来は上です。

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 (左)スペイン産アンコウの身は筋肉質で引き締まっています。鍋で食べるなら日本のアンコウの方が適しているでしょうがこうして鉄板焼きにして食べるならスペイン産アンコウの方が適していますね。そして熟成テンプラニーリョと抜群の相性を誇るイカスミのソースをたっぷりと添えて。
 (右)赤ワインのレゼルヴァの法定基準は樽熟期間12ヵ月以上を含めて26ヵ月以上の熟成を行うことですがオンタニョンでは樽内で24ヵ月、瓶内で96ヵ月もの熟成をさせてからでないとリリースしないという方針を貫いていて2005年ヴィンテージがようやく今年になってリリースされたのです。テンプラニーリョ95%にグラシアーノを5%ブレンドしているのはグラシアーノが入ることによって長期熟成型ワインになるのと同時にフレッシュさも与えてくれるという一見相反するような効果があるからだとのこと。タンニンもこなれていて穏やかで丁度今が呑み頃でしょうね。

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 (左)グラン・レゼルヴァの圧倒的な鉄分量に対して、肉類の中でも鉄分豊かな鹿肉をセレクトしたのは大正解ですしそこにローストした堀川ゴボウと根セロリのピューレという2種類の根菜類の土っぽさをプラスすれば合わない訳がありません。そして鹿肉には甘味と酸味のあるソースを合わせるのが定石。
 (右)赤ワインのグラン・レゼルヴァの法定基準は樽熟期間18ヵ月以上を含めて60ヵ月以上の熟成を行うことですがオンタニョンでは樽内で36ヵ月、瓶内で84ヵ月の熟成をさせてからでないとリリースしません。レゼルヴァとの違いは樽熟期間が12ヵ月長くてその分瓶内熟成期間が12ヵ月短いのと、テンプラニーリョ85%とグラシアーノ15%のブレンドであること。グラシアーノの比率が10%増えている分さらなる長期熟成型ワインになっていてまるで鉄分の塊のような豊富な鉄分を感じます。10年熟成してもこれなのだからまだまだ寝かせないといけませんね。

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 (左)ポストレはバスクのサン・セバスティアンにあるバル「ラ・ヴィーニャ」のレシピに則ったチーズケーキ。まなみんソムリエール曰く「ラ・ヴィーニャはチーズケーキで有名でお店のHPでレシピを公開してる」とのこと。ふんわり濃厚で食後酒が欲しくなりますね。
 (右)そのサン・セバスティアンで働いている元ETXOLAスタッフのE氏が一時帰国していて厨房を手伝っていましたがバスク帰りの料理人はやはり所作が違いますね!

  正直なところ、カジュアル価格帯のスタンダードなワインにはあまり期待していなかったのですが予想を上回るクオリティーでした。さて来年はどこの生産者がやって来るのでしょうか。